
日本の経営者の報酬が低いと指摘されて久しい。それでも、実は日本の上場企業には「年収1億円以上」のビジネスパーソンが1109人もいる。成果に見合った報酬を受け取ることは当然といえよう。ただし、大事なのは納得感だ。業績や株価が振るわなければ株主は不満を持つだろうし、なにより従業員の士気が下がる。そこで、陸運・鉄道業界の1億円以上もらう役員と従業員の年収格差ランキングを作成。特集『1億円以上稼ぐ取締役1109人はもらい過ぎ!?「年収1億円以上幹部」と従業員の年収格差ランキング』(全24回)の#18では、陸運・鉄道業界の年収1億円以上の経営幹部と一般社員の年収格差の実態を調査、実名ランキングで12人を検証する。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
陸運・鉄道業界で年収1億円以上12人の実名
トップは従業員年収と69倍の格差!
陸運・鉄道業界には、物流やタクシーなどの陸運系の会社と、鉄道会社が属している。
実は陸運と鉄道では幹部の待遇はきっぱりと分かれていて、鉄道系の年収は低い。なにしろ、JR系は幹部が誰1人として年収1億円以上を受け取っていないのだ。
では、そんな陸運・鉄道業界で「年収1億円以上」の経営幹部たちは何人いて、従業員の年収の何倍をもらっているのだろうか?業績に見合う年収を受け取っているのだろうか?
ダイヤモンド編集部では、経営トップの会長、社長のみならず役員を対象に、年収1億円以上の高額な報酬を受け取っている人物を業界別に集計した。1社から複数人が記載される場合もある。その経営幹部である人物の年収と従業員の平均年収を比較し、何倍の開きがあるかでランキングを作成した。数字が大きくランキングの上位にいるほど、従業員の待遇との格差が大きいことになる。
また、本特集では高収入を単純に批判する狙いはない。ランキングには、年収額と併せて、PBR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)、時価総額も掲載しているので、それらに「見合う年収」を得ているかどうかの判断の参考にしてほしい。今回対象としたのは陸運・鉄道業界だ。
陸運・鉄道業界で「年収1億円以上」の経営幹部で、従業員の年収と格差が大きいのは誰なのか?トップはタクシー会社の社長で、従業員の69.51倍を受け取っていた。
そして、佐川急便を傘下に抱えるSGホールディングス(HD)とヤマトホールディングス(HD)では、幹部と従業員の格差の倍率に大きな差があることも判明した。
第一交通産業、SGHD、山九、福山通運、ゼロ、NIPPON EXPRESSホールディングス(日本通運が傘下)、西武ホールディングス(HD)、AZ-COM丸和ホールディングス、ヤマトHDといった企業の幹部たちの年収は幾らで、従業員の何倍をもらっているのだろうか。次ページで実名と共に一挙に見ていこう。