
日本の経営者の報酬が低いと指摘されて久しい。それでも、実は日本の上場企業には「年収1億円以上」のビジネスパーソンが1109人もいる。成果に見合った報酬を受け取ることは当然といえよう。ただし、大事なのは納得感だ。業績や株価が振るわなければ株主は不満を持つだろうし、なにより従業員の士気が下がる。そこで、石油元売り業界の1億円以上もらう役員と従業員の年収格差ランキングを作成。特集『1億円以上稼ぐ取締役1109人はもらい過ぎ!?「年収1億円以上幹部」と従業員の年収格差ランキング』(全24回)の#17では、石油元売り業界の年収1億円以上の経営幹部と一般社員の年収格差の実態を調査、実名ランキングで12人を検証する。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
石油元売り業界で年収1億円以上の幹部12人の実名
トップは従業員年収と20倍の格差!
石油元売り業界は大きな転換期にある。ガソリンスタンドの数がこの20年間でほぼ半減するなど、業界の激変については特集『石油ムラ 大異変』を参照してほしい。
ただし、近年はビジネスモデルや収益構造の転換といった話題よりも、トップ人事や不祥事の方が、世間の注目を集めている。特に、最大手のENEOSホールディングス(HD)ではトップが2代連続でセクハラ問題を理由に退任したことが大きな話題になった。
そんな石油元売り業界で「年収1億円以上」の経営幹部たちは何人いて、従業員の年収の何倍をもらっているのだろうか?業績に見合う年収を受け取っているのだろうか?
ダイヤモンド編集部では、経営トップの会長、社長のみならず役員を対象に、年収1億円以上の高額な報酬を受け取っている人物を業界別に集計した。1社から複数人が記載される場合もある。その経営幹部である人物の年収と従業員の平均年収を比較し、何倍の開きがあるかでランキングを作成した。数字が大きくランキングの上位にいるほど、従業員の待遇との格差が大きいことになる。
また、本特集では高収入を単純に批判する狙いはない。ランキングには、年収額と併せて、PBR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)、時価総額も掲載しているので、それらに「見合う年収」を得ているかどうかの判断の参考にしてほしい。今回対象としたのは石油元売り業界だ。
同業界で「年収1億円以上」の経営幹部は12人いることが分かった。
コスモエネルギーホールディングス(HD)、出光興産、ENEOSHDといった企業の幹部たちの年収は幾らで、従業員の何倍をもらっているのだろうか。次ページで実名と共に一挙に見ていこう。