モットーは「That others may live(他を生かすために)」
F:メンタル面はどのように鍛えるのですか?メンタルトレーニングの特別なカリキュラムはありますか?
山:特別なカリキュラムはありません。通常の訓練を非常に厳しい状況で行いますので、訓練を通して精神も鍛えられるという感じですね。本人が希望して、部隊長の推薦を得て、選抜試験にパスしたら小牧で救難員課程をおよそ1年間受ける。救難員課程をパスしたら、初めて救難隊に配置される、という流れです。
F:小牧に行ければ、全員が救難員になれるのですか?
山:残念ながら、なれない人もいます。パイロットもそうですが、向き不向きというか、どんなに頑張ってもついて来られない人は出てしまいます。絶対評価ですから、「上から何人合格」というのではない。期にもよっては全員卒業する時もあれば、半分ぐらいに減ってしまう時もある。このラインを超えなければダメ、という絶対線があるんです。教官側も頑張らせて、頑張らせて、そのラインを超えさせる努力はするのですが、どうしても超えられない人は出てしまう。
F:「ちょっと足りないけれど、あいつは頑張っているから通してやるか」というのは……。
山:ないです。それは絶対にない。
F:厳しいなぁ……。
山:人命がかかっていますからね。妥協や温情は絶対にない。あってはいけないのです。小牧の救難員課程を卒業すれば、基本的な救難技術はマスターしています。ですがまだプロとは言えません。救難員としての本当の技術は、配属されてから身につくものです。だから10カ所ある救難隊に配属されても、直ちに救難任務に就くことはありません。そこでたくさんの訓練を重ねて、任務資格検定を受けて。それに合格して初めて出動できる、というわけです。
F:ひょえー!厳しい……。