2割に集中は危険?
パレートの法則の落とし穴

 ただ、落とし穴もあります。

 業績に貢献している上位2割の社員だけ抽出し、選抜チームを作ると、今度はその中で、「上位2割とそれ以外」という分布になりかねないという点です。

 加えて、重要なタスクだけに集中し、細かな配慮がおざなりになってしまうリスク、あるいは、2割を重視し、残りの8割を不要と考えてしまう危険性もあります。

 北海道大学大学院准教授で進化生物学者の長谷川英祐氏は、著書『働かないアリに意義がある』の中で、「7割のアリは休んでいる」と指摘し、それは、予想外の事態に即応すべく「余力」を残しているためと考察しています。

「誰もが必ず疲れる以上、働かないものを常に含む非効率的なシステムでこそ、長期的な存続が可能」

『知って得する、すごい法則77』書影『知って得する、すごい法則77』(清水克彦、中公新書ラクレ)

 長谷川氏の考察で言えば、上位2割以外の社員がいるからこそ、うまく回っていると言えなくもありません。

 また、そんな社員でも、得意な部署に異動したり、上司などから適切なアドバイスがあったりすれば、中位、もしくは上位の働きをする可能性も十分あります。

「パレートの法則」を商品に当てはめた場合も注意が必要です。

 今は売れていなくても、長く販売し続ければ売り上げに貢献しそうな商品とか企業イメージの向上につながりそうな商品を軽視しないよう留意したいものです。