米国の巨大な軍産複合体には多くの批判がある。だが今の欧州にとってそれは目指すべきものだ。ドイツは欧州再軍備5カ年計画の一環として、防衛投資を支出規則の適用除外とする緊急条項を発動するよう、欧州連合(EU)に要請した。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)のデータによると、2024年の世界防衛支出は前年比伸び率が少なくとも冷戦終結以降で最大になった。主に欧州での増加が寄与した。アナリストの推計によると、北大西洋条約機構(NATO)加盟国は2030年までに軍事費をさらに7000億~2兆ユーロ(約115兆~328兆円)積み増す可能性がある。もちろん恩恵の多くはロッキード・マーチン、ノースロップ・グラマン、ゼネラル・ダイナミクスなどの米防衛大手に流れることだろう。だがEUは欧州における軍事調達の少なくとも50%を域内企業が引き受けることを望んでいる。それを実現するには大規模な産業改革が必要だ。米国の成長シナリオが輝きを失う中、投資家はこのチャンスに乗じたいと熱い視線を送る。