加えて40年までの「脱エンジン」を掲げたホンダだが、直近では、「EV市場の成長が想定以上に鈍化している」(三部社長)ほか、トランプ政権への移行によるEV普及策の後退などもあり、潮目が変わりつつある。トランプ関税の影響もあって、ホンダは決算発表と同時に、カナダのEV工場の新設計画の延期を発表するなど、EV施策の後退を余儀なくされている。
ホンダは、米ゼネラルモーターズ(GM)と、BEV量販車の共同開発や自動運転で提携を推進していたが、23年から24年にかけて一連の提携を解消している。GMは、韓国・現代自動車グループとの提携へシフトしているが、三部ホンダもGMに代わるパートナーとの連携模索が迫られているのだ。
つまり、ホンダが日産との統合話はないと突き放してみせても、ホンダ自身決して安泰ではなく、有力な“協業先”として日産との連携を模索せざるを得ないのだ。
そこで日産の話に戻るが、現状の日産は、大リストラの実行と世界地域ごとのパートナーシップの連動活用、商品企画力強化を着実に実行することが再生のカギを握る。
しかし、米国やEVなど悪化する市場環境を見渡すと、依然としてホンダとの協業も大きな争点となっており、自力再生を遂行すると同時に、“協業再生”にどこまで足を踏み入れるか、日産にとっては大きな岐路となるのだ。
かたや、ホンダも三部社長が21年4月の就任から4年が経過しており、EVや米国・中国対応など経営課題に対する確かな成果が求められている厳しい状況でもある。
ホンダとしては、日産との統合の白紙化については“拙速”だったとの批判も生じており、慎重に次の手を打つ必要がある。三菱自が台湾ホンハイからBEVの供給を受ける協業の動きが日産の再生にもつながり、ホンダの思惑にも絡んでいくことから、日本・台湾4社連合の可能性にも注目していきたい。
(佃モビリティ総研代表 佃 義夫)