日産にとって、トランプ関税は足元で非常に大きな重荷だ。日産は日本車の中でメキシコにいち早く生産進出しており、系列部品メーカーの進出も含めて北米生産拠点の中核となっている。メキシコから米国への輸出は約30万台、日本からも12万台を輸出している。関税による影響額は、部品も含めて26年3月期に最大4500億円と見込んでおり、不透明な情勢もあって今期業績は未定とした。
一方で、トランプ関税に揺れるのは日本の自動車各社も同様だ。特にホンダは、米国は“一本足打法”と呼ばれたほどの収益源であることから、関税対策は今期業績への最大のポイントとなる。
ここで、ホンダの状況についても触れておこう。ホンダは決算会見で、米国の追加関税の影響により営業利益が6500億円押し下げられるという想定を公表した。その内訳は、カナダやメキシコなどから輸入する四輪完成車(55万台)で3000億円、四輪車部品や原材料で2200億円、二輪車などで1300億円だ。
また、為替想定レートを1ドル=135円と前期よりも円高に見込んだことで、26年3月期の営業利益は前期比59%減と大幅減益となる5000億円を見込んだ。ちなみにこの営業利益5000億円の予想は、売上額で劣るスズキと同額だ。
ホンダは、相変わらず二輪車事業の利益貢献が大きい。25年3月期の二輪車のグローバル販売は2057万台(前期比9.3%増)で、二輪事業の営業利益は6634億円、営業利益率は18.3%だった。これに対し、四輪車事業は中国の減速により、グローバル販売が371万台(9.6%減)にとどまり、営業利益2438億円、営業利益率は1.7%と低調だ。
三部ホンダ社長は「『たら・れば』ではないが、関税と為替の影響がなければ、今期も1兆4000億円程度稼げる力が付いてきている」と強気の姿勢を示したが、内実は二輪車事業の好調と高い収益性に支えられていることに変わりはないのだ。