【オピニオン】「原罪」と外交政策Photo:Kevin Dietsch/gettyimages

 大きな代償を伴ったが、ジョー・バイデン氏は先週、ついに新聞各紙の1面から自身の後任を追い出した。まず初めに、バイデン氏の最側近たちが共謀して彼の精神的・肉体的衰えを隠蔽(いんぺい)したという衝撃的な記事が次々に出た。それはジェイク・タッパー、アレックス・トンプソン両氏の共著「Original Sin: President Biden’s Decline, Its Cover-Up, and His Disastrous Choice to Run Again(原罪:バイデン大統領の衰えとその隠蔽、そして再出馬という破滅的な選択)」の出版で、クライマックスに達した。そこからさらに、バイデン氏が「ステージ4」の前立腺がんにかかっているというニュースが流れた。

「原罪」の読者にとって最も注目すべき点は、同書にバイデン前大統領の外交政策チームがほとんど登場しないことだった。これは、彼らがバイデン氏の周囲にいなかった、または内情に通じていなかったからではない。タッパー、トンプソン両氏は、バイデン氏を取り囲む「壁」が強固になる中、当時のアントニー・ブリンケン国務長官とジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、「政治局」と著者2人が呼ぶバイデン氏の忠実な側近集団を越えて、どの閣僚や上級補佐官よりも比較的簡単かつ定期的にバイデン氏に接触できていたと強調している。また、欧州首脳らが国際会議でのバイデン氏のいつもとは異なる振る舞いについて懸念し、困惑していたことも多くの情報源から分かっている。だが、バイデン氏の外交政策チームが取った行動と取らなかった行動についての「原罪」の記述は、バイデン氏の内政アドバイザーらに関するものよりはるかに内容が薄い。