「貯金2000万円が数年で消えた…」75歳男性が医療費で老後資金を失ったワケ写真はイメージです Photo:PIXTA

高齢になると、若いうちは想像がつかないほど医療費の支出が増える。将来の生活費に医療費を含めて予算を立てている人は少ない。逆に心配しすぎて無駄な生命保険に加入している人もいる。財政不足のため、将来は、窓口で払う医療費が3割負担になったり、整骨院のマッサージや皮膚科のクリームなどは保険適用外になったり、高額療養費制度の適用条件が厳しくなったりするだろう。公的医療保険に依存できなくなることを想定して、医療費の準備をするにはどうしたらいいのか。(生活経済ジャーナリスト 柏木理佳)

2000万円以上の貯金、持ち家あり
72歳まで働き続けても医療費に困窮

「歳を取るとともに医療費が増加する」という高齢者の話は聞いたことがあると思います。しかし、具体的にどこまで深刻なのかをイメージしている人は少ないのではないでしょうか。実は、思いがけない費用が掛かり、それによって、中には破綻する人もいるほどです。

 2000万円以上の貯金もあり、持ち家で、定年後も72歳まで働き続けた大竹健太郎さん(75歳・仮名)もそうでした。

「定年後も仕事を続けるため、知人のベンチャー企業に資本金1000万円を預けることを条件に取締役にしてもらった。若手の役員や人事部のご機嫌をとるため毎回のように食事もご馳走してるから、最近は貯金できてない」とため息を漏らします。

 健康診断は定期的に受けて、1回だけですがPET検診も受けていたので、病気になるとは思っていなかったのです。ところが、がんが発覚。マネープラン、もちろんライフプランも変更になりました。大竹さんはどんな対策で乗り切ったのでしょうか。