決断するときに考えるべき2つのリスク

 決断するときに考えなければならないのは、次の2つのリスクだ。

(1)目標が未達成で終わるリスク
(2)決断したことによって発生しうるリスク

(1)の目標未達成リスクを回避するのは、意外と難しくはない。
 目標を達成するうえで、最適な答えなどないことは、説明するまでもない。
 どんなに考えても、100%正しい解など見つからないものだ。

 目標を「絶対達成」させるうえで、100%確実で最適なやり方はないが、確実に失敗する方法ならある。
 私は毎日のように現場に入ってコンサルティングしているので、どのような発想、どのようなやり方をしていれば目標未達成で終わるか、それだけはわかる。

 それは、「頭でっかち」になることだ。

 考えすぎる人ほど、目標を「絶対達成」できない。
 熟慮する癖がある人は、最も大切なリソースを無駄遣いするからだ。それが「時間」である。時間を浪費してしまうのだ。
「絶対達成」という発想は、アバウトでいい。目標を超えさえすればいいのだから、大雑把な計画でかまわない。
 頭を抱えて考え込む人は、ちょうどピッタリ目標達成できる手法を追いかけ続けているのだ。

 発想の転換が必要である。
目標は、超えさえすればいいのだ。

 朝10時にお客様を訪問する約束をしていた場合、当然のことながら「絶対達成」だ。
 朝10時に到着している未来から逆算して、どう行動をとるべきか、誰もが考えるはずである。
 そのとき、緻密な計算をして行動計画を立てるだろうか。
 お客様のところへ朝の10時までに着けばいい、のである。10時ピッタリに着く必要はない。いかに効率的に、ラクして到着することができるかなどと、吟味したり、分析したりする必要はない。
 だから「絶対達成」の考え方はアバウトでいいのだ。

 実践するかどうかは別にして、(1)の目標未達成リスクを回避するための仮説をつくることは、それほど時間をかけなくともできるはずなのだ。

 この(1)の仮説をつくり上げたあと、(2)の実際に決断して行動をスタートしたあとに遭遇する可能性のあるリスクについて考慮する。
 発生頻度と、発生したあとの影響度を勘案しながら、そのリスクが許容できるかどうかで仮説を評価していくのである。
 慣れていない人にとってこの手順は面倒くさそうに思えるかもしないが、本当に決断力のある人は、1~2分もあれば頭の中で処理できるものだ。