決断できない人の口癖「現実的に……」
決断できない人の多くは単純に、(1)を考える前に、(2)ばかりに焦点を合わせる。
最初から「落としどころ」を模索するのだ。
そういう人の口癖は「現実的に」である。「現実的に考えると……」を連発する。
「2ヵ月で10Kg減らしたいと言っても、現実的に自分でできることといったら、せいぜい毎日食事を減らすくらいです。好きなラーメンを食べなくするとか、考えられるのはそれくらいです」
「運動はやりたいですけど、現実的には無理です。平日は残業が多いですし、週末も家のこととか、やることがいっぱいあるので」
いろいろなアイデアがあり、比較検討した結果、「落としどころ」を見つけるのならともかく、最初から「妥協案」を出してしまう。
こういう人は「思考系」が衰えているので、イライラしがちだ。
「私だってね、できるものならやってますよ!2ヵ月で10Kgやせることができたら、そりゃあうれしいです。でもね、現実的にはそれができないから、こうして悩んでるんじゃないですか」
このように感情をむき出しにして怒ったりする。
目標達成できない理由を他の事柄に向けたりするのだ。
「こんな時代だから仕方ないじゃありませんか。不景気ですから、人を増やすこともできないんでしょう。会社がもっと仕事を減らしてくれたら、私だって自分の健康に気を配る余裕もできるってもんです」
「家族も家族だ。みんな好き勝手にやって、私の言うことなんてちっとも聞かないんだから。週末に私の自由な時間なんてありません。こんな不自由な毎日を送っているのに、ダイエットなんてやってられますか」
「2ヵ月で10Kg減らしたい」という目標設定はできても、実際に何をするか決断するときになると、「半ギレ」状態になってしまう人はたくさんいる。
私が経営相談に乗るときもそうだ。
目標を「絶対達成」したいというから相談に乗り、アドバイスしても、
「横山さんはそう言いますけどね。現実的には無理でしょう!あんたはいいよ、あんたは。うちの業界のこと、全然わかってないんだから!」
と、突然怒り出す経営者やマネジャーはいるのだ。
よく考えてみてほしい。
「現実的に」というフレーズを出すということは、何か「非現実的なアイデア」があり、それは難しいだろうから「現実的な対案」を苦肉の策として考えたというのでなければならない。正しく決断するためには、この手順を守るべきだ。
「非現実的なアイデア」がないのに、「現実的なアイデア」を考える手順はおかしいのである。
結局のところ、「現実的に」を口癖にしている人は、過去の自分のやり方と比べて「現実的にできることは●●と▲▲しかない」と言っているのだ。
これは根本的に間違っている。