なぜ不適切な点呼が野放しになったのか

 日本郵便は、不適切な点呼業務の原因分析結果も公表した。それによると、意識の欠如、ガバナンスの不足、職場のマネジメントにおける課題、点呼に関するマニュアルの一部誤規定があった。

「ゆうパック」はどうなる?日本郵便の「不適切点呼」で露呈した「さらに深刻な問題」とはPhoto:PIXTA

 意識の欠如としては3要素が挙がった。まず、法令に対する理解不足。各地の郵便局内では、点呼はやらなくても大丈夫、面倒だから管理者がいるときだけといった意識があったという。次に、飲酒運転に関して。飲酒している人なんているわけがないとの思い込みが影響したそうだ。3点目に、形式的に管理帳簿を作成しておけばバレないだろうとの認識だ。点呼を実施せず記録簿だけを作成したケースが報告された。

 ガバナンス不足については、本社と支社間で点呼業務の執行を厳正に管理し、定期的に監査を実施する体制になっていなかった。点呼記録が紙媒体で記録され、属人的な管理体制が定着していた、デジタル技術の導入が進んでいなかったことも、問題の野放しにつながったとみられる。

 職場のマネジメント課題は、管理職が点呼業務の適切な管理を実施する意識がそもそも希薄だったという。問題が起きた際に、支社および本社へ報告する体制になっていなかった。さらに一部の郵便局では、誤った点呼の実施方法がマニュアルに記載され、結果として問題が放置されたと考えられる。

 こうした事態を重く見た国交省は、日本郵便の事業許可を取り消す方針だ。同社が保有する、トラックやワンボックス車など約2500台の運送事業が対象になる。取り消しから5年間は許可の再取得ができない。軽バンなど約3万2000台(届け出制)も処分の対象になる可能性はあるようだ。