そのうち、ご主人は野菜によって売れゆきが違うことに気づくでしょう。人気のある野菜は少量でも100円で売れるが、人気のない野菜は量を増やさなければ100円で売れません。
あるいは、売れる野菜と売れない野菜を組み合わせて販売するようになるかもしれません。野菜ごとに値段を変えるようになるかもしれませんね。
こうなってくると、当初の「余った野菜なので自由に持ち帰ってください(2)」という気持ちとはかなり変わってきています。いわば「営利的無人販売所」になるわけです(4)。
そのうち、「ちゃんと代金を払っているだろうか」「代金を盗んでいる人はいないだろうか」という疑念が湧いてきます。並べた野菜を数えて、置いてある代金と照らし合わせたりすることでしょう。金額が合わないと、野菜が盗まれたのか、お金が盗まれたのか、どっちだと思い悩むようになります。
その結果、お金を置いてもらっていたザルや箱ではなく、鍵付きの箱や金庫のようなものを置き、それを柱などにくくりつけておくようになるでしょう。面識もなければ信頼もない状態です。この段階になると「防犯型無人販売所」ですね(5)。
売り手の顔と想いが消え
QRコードだけが残った
これで売上金を盗まれることはなくなりましたが、野菜そのものを盗まれる危険性が残っています。野菜の盗難を抑制するために監視カメラを購入して設置したり、お金を入れると扉が開くようなコインロッカーを導入したりします。「機械式無人販売所」の登場です(6)。
コインロッカーには温度調整ができるものもあり、収穫した野菜が傷みにくいという利点があります。中には野菜を数日置きっぱなしにしても問題ない製品まで登場しています。こうなれば野菜を盗まれることもなくなるし、数日前に収穫した野菜も売れるようになります。
ただ、こうなると曲がった野菜や大き過ぎる野菜がロッカーに入らないという問題が生じるかもしれません。