また、温度管理用の電源を確保しなければなりません。誰がどんな気持ちで野菜を買ってくれているのかがわからなくなり、地域の人たちから感謝されているという実感もない。
計算どおり野菜が売れて、電気代を支払うことができ、ロッカーの代金が回収できるかどうか。そのことばかりが気になってしまうことでしょう(注2)。
インターネットで「野菜の無人販売所」と調べると、「畑の敷地内なら申請無しで無人販売ができること」、「人件費をかけずにほぼ自動で売れていくこと」、「野菜や売上金を盗まれないようにカメラやロッカーを導入すること」、「QRコード決済にすれば現金の盗難は防げること」、「ポップや看板を目立つものにすると売れるようになること」といったアドバイスが出てきます。野菜の無人販売所は、どんどん面識的ではない方向へと変容しているようです。
(注2)もちろん、空調付きロッカーは地域外の企業から購入しているので代金が流出しています
販売所の錆びた缶に
人はお金を入れるのか
以上が、想像上の「無人販売所の変遷」です。現在、全国の無人販売所は(1)から(6)のどこかの段階にあるように思えます。(3)の「無人販売所」くらいまではかろうじて面識経済ですが、(4)の「営利的無人販売所」から先は面識よりも売上や盗難を気にしているように感じます。(6)の「機械式無人販売所」は都市周辺部や幹線道路沿いの無人販売所によく見られますね。
私が好きな無人販売所は(3)までのものです。地域全体で安心や信頼を担保しているので、防犯装置や機械装置に頼る必要がない無人販売所です。もはや全国でも珍しくなってしまいましたが、たまに見つけると嬉しくなって写真を撮ったりしています。私と同じように(3)までの無人販売所が好きな友人が何人かいて、そのうちのひとりが観察した無人販売所の話は興味深いものでした。