不動産業界イメージ不動産業界で求められる人材とは? Photo:PIXTA

新卒採用において、企業はどのような人材を求め、どの事業に注力しているのか。本連載では、専門家の市場分析を基に、各業界をリードする企業がどのような採用戦略を打ち出しているのかを解説し、今後の動向を探る。第14回では「不動産業界」を取り上げる。(ダイヤモンド・ライフ編集部 大根田康介)

「立地と設備」だけじゃない
変化する不動産の価値

 不動産業界は、アベノミクスが本格化した2012年末以降、10年以上にわたり好況が続いている。大手デベロッパー(三井不動産、三菱地所、住友不動産など)の業績は堅調で、オフィス、マンション、ホテル、商業施設、物流施設、仲介事業などを多角的に展開している。

 金利環境についても、日本国内では長期固定負債を多く抱える企業が多いため、金利上昇が直ちに業績に影響する構造ではない。仮に金利が1~2%上昇したとしても、反映されるのは借入残高のごく一部に過ぎず、完全に反映されるまで10年程度かかるとされる。

「こうした資金調達構造の安定性が、業界全体のリスク耐性を高めている要因だ」と、大和証券アナリストの増宮守氏は話す。

 アマゾン・エフェクト(米アマゾン・ドット・コムの急成長に伴う様々な市場の混乱や変革などの現象)による物流施設への注目や、コロナ禍によるテレワークの普及を背景に、オフィス市場は一時的に打撃を受けた。

 しかし、日本国内では東京の都心部を中心に空室率が2023年頃から改善傾向にあり、24年から賃料が上昇し始めた。

 これまでは、東京。丸の内などの一等地では依然として強い需要が見られ、「立地と設備」が不動産の主な価値という点は大きくは変わらない。ただし、近年ではシェアオフィス、Airbnb、リノベーション住宅などの登場により、「流動性」や「オペレーション力」「ブランド力」が新たな価値として台頭してきている。

 また、近年の最も大きなテーマとしてデジタル技術の進展が挙げられる。

 そんな中、不動産業界はどう環境変化しているのか。また、それが新卒採用にどんな影響を及ぼしているのだろうか。