日産自動車動向が注目されている日産自動車。自動車業界で求められる人材とは? Photo:PIXTA

新卒採用において、企業はどのような人材を求め、どの事業に注力しているのか。本連載では、専門家の市場分析を基に、各業界をリードする企業がどのような採用戦略を打ち出しているのかを解説し、今後の動向を探る。第12回では「自動車業界」を取り上げる。(ダイヤモンド・ライフ編集部 大根田康介)

一大勢力の誕生を目前に
経営統合が白紙

 自動車の世界販売台数において、トヨタがフォルクスワーゲンを抑えて首位に立った。これは円安の恩恵も大きく影響しているが、トヨタグループ全体の総合力と、資金力・開発力に裏打ちされた結果でもある。

 トヨタはスバル、マツダ、ダイハツなどを巻き込みながら、全方位型の技術開発を推進している。電池や電子部品の自社開発を進める一方、スマートシティー構想などの未来型プロジェクトも手掛けるなど、その動きは多岐にわたる。

 そんな中、2024年の自動車業界における大きなトピックスとなったのが、日産自動車とホンダ(本田技研工業)の経営統合だ。

 これに三菱自動車も加わり、事実上「トヨタグループ」と「日産・ホンダ連合」という、日本の自動車産業を二分する構図が鮮明になった。

 背景には、「EV(電気自動車)や自動運転といった次世代モビリティ技術の競争激化がある」と、富士経済インダストリアルソリューション事業部の饗場知氏は話す。

 各社は単独での生き残りが難しいと判断し、技術・資本を共有する方向へかじを切った。日産が仏ルノーとの資本関係を大幅に見直したことも、今回の再編を加速させた。

 だが一転、経営統合は白紙となった。そこに台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が食指を動かすなど、自動車業界の再編は予断を許さない状況が続いている。

 ここからは、自動車業界の構造や仕事内容、そして各企業がどのような人材を求めているのかを探る。