日米豪、合同演習を年々拡充 中国の脅威念頭に太平洋の米同盟国は合同軍事演習を一段と強化している

【タウンズビル(オーストラリア)】オーストラリア北東部沿岸のこの都市に近い起伏に富んだ丘陵地で、日本の陸上自衛隊とオーストラリア軍の砲兵部隊が連携し、遠方の標的に向けて大砲を発射した。米海兵隊員が豪砲兵に交じってこれを支援した。

 この実射訓練はオーストラリアの荒野で毎年行われる実動訓練「サザン・ジャッカルー」のクライマックスだった。日米豪3カ国が同盟国として協力する合同演習は規模を年々拡大している。

 上級将校らは敵を名指しこそしなかったが、参加した部隊員は中国と戦うことを想定した訓練であることは明白だと話す。

 中国軍が太平洋での活動を徐々に拡大する中、同地域の米同盟国は中国との紛争にいつ巻き込まれてもおかしくないと認識し、自国の軍隊を強化すると共に、シームレスな協力体制を確実に築けるよう合同演習の機会を増やしている。

 同盟国が合同で軍事力誇示を行う第一の目的は、中国の計画の複雑さを増し、領土主張のために軍事力を行使するのはリスクが高すぎると、共産党指導部に思わせることだ。

 オーストラリアと日本はともに米国と安全保障協定を結んでおり、太平洋における米国の重要なパートナーとして浮上している。もし戦争が勃発すれば、米国は中国と対峙(たいじ)するために、日本には在日米軍基地の使用を許可するように求め、オーストラリアには航空機や艦船、兵員を日本に派遣して戦闘を支援することを求めるだろう。防衛アナリストの一部はそう指摘する。

「この地域で集団的抑止力について議論するなら、それはこの3カ国だ」。米ランド研究所のジェフリー・ホーナン日本部長はそう話す。