
アサヒグループホールディングスは「One Asahi」という標語を掲げ、全体最適に取り組んでいる。しかし、給与制度には“ビール中心主義”が残っているようだ。トップビールメーカーである、アサヒビールの給与水準はどのようなものか。 特集『アサヒ 王者の撤退戦 ビールメーカーの分水嶺』の#6では、 非管理職の給与テーブルを全て、実額で公開する。(ダイヤモンド編集部 下本菜実)
管理職以下の給与に残るビール中心主義
「One Asahi」とは程遠い
アサヒグループホールディングス(HD)は「One Asahi(ワンアサヒ)」という標語を掲げ、グループ一丸となって新たな価値の創造や物流や原材料調達の最適化など、構造改革に取り組んでいる。
背景にあるのは国内酒類市場の縮小だ。同社では「国内ビール市場の縮小により、営業利益が3分の1になる」というシナリオを前提に、本特集で詳報したさまざまな改革を進めている。
その一つに、組織再編と人事給与制度の改革がある(本特集#5「【独自】アサヒが国内事業で打ち立てた「驚きの大目標」とは?達成のため“強制転籍”の他にもグループ内組織再編始まる」参照)。
実は、アサヒグループの各事業会社の人事給与制度 は、「One Asahi」とは程遠い、 “ビール中心主義”だった。ただし、それも無理もない状況だったといえるだろう。なにしろ、2024年12月期の国内事業の事業利益1349億円(その他と事業内消去を含む)のうち、ビールを中心とした酒類が全体の81%に当たる1099億円を占め、次いで飲料が322億円、食品が129億円という構成なのだ。
従って、人材もビール中心に配置されてきた。24年12月期末、アサヒグループHDの従業員数2万8173人のうち、国内人員は1万0815人。そのうち、事業会社であるアサヒビールの社員は約3000人、アサヒ飲料は約2300人、アサヒグループ食品は約1200人とみられる。
ところが、目下、進められている構造改革で、長らく続いた“ビール中心主義”からの脱却を目指していることが判明した。「 食品や飲料の給与はアサヒビールの社員の7〜8掛け」(アサヒグループHDの関係者)という水準も、大きく変わることになりそうだ。
「30代後半で1000万円に到達する」というビールメーカーは、食品業界の花形だ。その中でも王者であるアサヒビールの社員の給与は幾らなのか。
次のページでは25年4月に新たに導入された、アサヒビールにおける管理職以下の社員の給与テーブルを、実額ベースで詳報する。
