反撃の日本株! 新時代の最強株&投資術#5Photo:78image/gettyimages

特集『反撃の日本株! 新時代の最強株&投資術』の#5では、過去大きな反響を呼んだ「清原達郎式のスクリーニング術」の「2025年最新版」をお届けする。外部環境の不透明な相場で組み入れたいのが下値の堅い「割安株」だが、単純なスクリーニングだけではわなにはまりやすい。圧倒的な運用成績を残し、資産800億円を築いた「伝説のサラリーマン投資家」が実践してきた割安小型成長株投資の極意とは?最新決算を反映した清原式投資への入り口となる308銘柄も一挙公開する。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

資産800億円投資家が活用する
割安小型株のスクリーニング術とは?

「割安小型株」の中に成長株が隠れている――。

 個人資産総額800億円を超える「伝説のサラリーマン投資家」清原達郎氏。その原動力となり、運用の中心に据えてきたのが割安小型株への投資だ。「小型株の多くは基本割安に放置されていて、その中で成長株を見つけて投資できれば、爆発的な破壊力になる」(清原氏)からである。

 清原氏は、1998年にタワー投資顧問の基幹ファンドの運用開始後、四半世紀で93倍という驚異的なパフォーマンスをたたき出してきた。個人投資家やビジネスマンからの注目度も高く、著書『わが投資術 市場は誰に微笑むか』(講談社)も投資本として異例の売れ行きとなっている。

 清原氏の割安小型株投資とはどんな手法なのか。

 そのベースとなるのが、清原氏が独自の観点から定義した「ネットキャッシュ比率」を使用したスクリーニングである。清原氏が株価の割安度を判断する指標の中で、PER(株価収益率)に加えて重視している指標がネットキャッシュ比率なのだ。

 資産面から株価の割安度を評価する指標にはPBR(株価純資産倍率)もあるが、「PBRは評価基準としてあまり役に立たない」と指摘する。その理由は後ほど解説するが、あくまでも「理論上」の話であるからだ。

 まずはネットキャッシュとは何かから説明していこう。

 ネットキャッシュとは、企業が保有する現金や預金、有価証券から有利子負債を引いた金額のことである。清原氏は独自の観点から、ネットキャッシュとネットキャッシュ比率を以下のように定義している。

◆ネットキャッシュ=流動資産+投資有価証券×70%-負債
◆ネットキャッシュ比率=ネットキャッシュ÷時価総額=(流動資産+投資有価証券×70%-負債)÷時価総額

 ネットキャッシュ比率が1とは、「会社がただで買えるほど割安」ということ。お金を借りて時価でその会社の株を全部買うと、借りたお金は会社にある現金や換金可能な流動資産を売って返済できるからだ。

 投資有価証券を70%で評価しているのは税金などを考慮しているためだ。清原氏のファンド運用時は、「このスクリーニングを数カ月に1回やって割安銘柄の候補を探していた」という。

 だが、残念ながら個人投資家の場合、ネットキャッシュ比率を算出するのは難しい。

 そこで次ページではダイヤモンド編集部が算出した、最新の四半期決算を反映した「清原式【2025年最新版】ネットキャッシュ比率1以上」を満たす中小型308銘柄を一挙に公開する。さらに清原氏がPBRではなくネットキャッシュ比率に注目する意味や、「割安小型成長株」が爆発的破壊力を秘めている理由についても明らかにする。

 3月13日にダイヤモンド・オンラインで公開して大きな反響を呼んだ本特集#2『資産800億円の投資家・清原達郎氏は「長い目では日本株に強気」、リスク管理や小型割安株投資の極意も公開』では、清原氏は割安小型株投資について「再現性はあります」と明言している。

 トランプ米大統領発言や円高など株式市場に不透明感が増しているだけに、相対的に下値が堅い割安株を組み入れる意義は大きい。さらに小型株であれば、外国人投資家や機関投資家の動向にも左右されにくい。投資初心者もぜひチェックしてほしい。