半導体TSMC進出で「路線価が爆上げ」の熊本県菊陽町、懸念される「交通網のパンク」と移住者のマナー熊本県菊陽町にあるTSMC子会社「JASM」の工場。ソニーやデンソーも出資している Photo by Wataya Miyatake

半導体TSMCの進出によって路線価が全国2位の上昇率となった熊本県菊陽町。地価が高騰する一帯には、どんな変化が起きているのか。また、あまりに急な変化で問題は発生していないのか。現地を歩いて様子をリポートする。(ライター 宮武和多哉)

半導体TSMC進出で
熊本県菊陽町の地価が爆上がり

 相続税などの算定の基準となる土地の価格、「路線価」が7月1日に公表され、熊本県菊陽町光の森の「県道住吉熊本線」が前年から24%上昇し、全国2位の上昇率となった。熊本県菊陽町といえば、半導体の受託製造で世界最大手の、台湾積体電路製造(TSMC)が新工場を建設した場所だ。

 折しも7月8日のニューヨーク株式市場でTSMCの時価総額が一時、1兆ドル(約160兆円)を突破した。米アップルやエヌビディアに重要な半導体を供給するサプライヤーとして、TSMCは人工知能(AI)に投資する世界の投資家から選好されている、と海外メディアが伝えている。
 
 TSMCの子会社JASM熊本工場では、建設中の第2工場も含めて約3400人の雇用を予定する。TSMCの熊本進出をきっかけに、九州全体が「半導体バブル」に沸いている。九州経済調査協会は、半導体関連の設備投資が九州7県と山口、沖縄両県に与える経済効果について10年で計約20兆円と推計する。

 路線価の話に戻ると、前年から20~30%の上昇といえば、1980年代後半からのバブル経済期でいう、東京都区内の伸び率に匹敵する。これほど地価が高騰する熊本県菊陽町やその一帯には、どんな変化が起きているのか。また、あまりに急な変化で問題は発生していないのか。現地を歩いて様子をリポートする。