任天堂最古参のキャラ「ドンキーコング」

 Switch2の発売の2カ月前にあたる4月2日、Switch2の基本的な機能やソフトのラインナップを紹介する任天堂の配信(ニンダイ)で、大トリを飾る形で紹介されたのが「ドンキーコングバナンザ」であった。その時のユーザーの反応(私個人の感想含めて)が実に印象的であった。こうである。

 それまで謎に包まれていたSwitch2関連のベールが脱がされるこの4月のニンダイはものすごい注目を集めた。新作マリオカートから始まって、他のソフトメーカーの話題のタイトルが次々に紹介されていき、カービィ新作の予告があって、いよいよ「次が最後の映像となります」という前置きがあった。

 このニンダイで流れるゲームの紹介動画は、のっけから「あのゲームです!」とはっきりさせるつくりのものは少ない。静かな風景や暗闇などから始まって、徐々に他の要素が描写されていき、ついにそのタイトルの主要キャラなどが登場して「あのゲームだ!」と知れるのである。この焦らした構成によってユーザーは「なんのゲームだ…?」「あのタイトルか…?」と期待を膨らませ、ついに判明すると興奮が炸裂するというお約束になっている。

 その「最後の映像」はまずキレイな自然の風景がいくつか表示された。この時点でピクミンやマリオ、ゼルダなどのタイトルをユーザーは思い浮かべた。大トリを飾るくらいだから任天堂の中でもビッグタイトルであることに間違いはないことをユーザーは承知している。

 やがて静寂に包まれる暗闇となり、何者かがその暗闇をぶち破って現れた。シルエットから察するにそれは明白にドンキーコングであり、もはや姿を隠す必要がなくなったドンキ―コングはSwitch2の美麗なグラフィックの世界を暴れ回った。ゲームのコンセプトが岩を破壊したりしながら冒険する爽快感を追求しているようで、ドンキーは文字通り暴れまくったのである。

 私は任天堂のファンだし、ドンキーコングは任天堂最古参のとても馴染みのあるキャラである。スーパーファミコン時代にあったドンキーコングのヒット作も通ってきたし、Switchのソフトの中ではちょっとニッチな「マリオvs.ドンキーコング」も買ったのである。

 しかしこのときの感想は、ドンキー……であった。ドンキーコングは、テンションをそこまで上げてくれるキャラでは正直ないのである。ニンダイの大トリがドンキーコング新作と来て、ちょっと肩透かしを食ったような気分であった。

 Switch2発売初期に、同ハードを担うタイトルにしては荷が重すぎる気がするのである。うっすらと沈む気分で眺めるニンダイの画面内ではドンキーがいよいよ激しく暴れまわっていた。

 だが任天堂の試みを下げるようなことを思うのは任天堂に酷かもしれない。ドンキーコング新作を肯定することで任天堂の挑戦を肯定していきたくもたしかにある――などと葛藤しながらXを開いた。