既存のものを組み合わせた意外性 

 まだクリアには至っていないが不満に思える点は、カメラの問題か画面酔いがしやすいところである。これは慣れるのだろうか。「スプラトゥーン」なんかは、久しぶりにプレイすると最初は酔うがやがて慣れる。「バナンザ」には「やめどきがわからなくなる」と言いながら長時間プレイする人が散見されるから、まあやがて慣れることができるのかもしれない。

 Switch2のローンチタイトルだった「マリオカートワールド」は、従来のレースの楽しさをコースや新キャラの追加で拡張する。

 それとともに、最近バトルロイヤル系シューターゲームなどで流行っている「大人数でスタートして、その中から1位を決める」サバイバルモードを導入したり、ひとつひとつのレース会場が独立せず世界地図中でつながっていてコース外に出れば行き来ができる、レースゲームには画期的なオープンワールド(ふうな見せ方)を採用した。

「ブレワイ」や「オデッセイ」に見られた、マップを隅々まで探索する楽しさは「バナンザ」でも再現された。ただ「バナンザ」はそこに「DKが破壊しまくって進む」という新しい要素を足したことで、ブレワイ・オデッセイにはなかったスピード感と爽快感が付与された。

 まったくの無から完全に新しい何かを生み出すのではなく、既存のものを組み合わせた意外性による新しさを模索する姿勢が、「マリオカートワールド」にも「バナンザ」にもある。

 これは初代Switchからマウス機能やゲームチャット機能が付与されつつもデザインは大幅に変わらないままリリースに至ったSwitch2の進化のあり方にも共通している。ありふれた既存の機能が、今までになかった組み合わせを与えられることでイノベーションとなるのである。

 Switch2はしばらくこの方向性で走らされるのではあるまいか。その気配を「バナンザ」から読み取ることができた。

 今年発売予定で発表済みの任天堂タイトルにはポケモンとメトロイドがある。これらのタイトルがどのような「新しさ」を模索するのか、いちユーザーとして楽しみである。