「オデッセイ」や「ブレワイ」と比較すると…
まず、面白かった。ゲームの第一印象は「物を破壊しまくって進む」という大味さが目に付いたが、それだけではまったくなかった。
ステージを進むと至る所にチャレンジステージやギミックが隠されていて、それが本当に次々に見つかるので飽きさせない。これはマリオの「オデッセイ」やゼルダの「ブレワイ(ブレスオブザワイルド)」にも見られた要素である。プレイヤーの好奇心を途切れさせないのである。
「バナンザ」の主人公のドンキーコング(以下「DK」)は移動スピードが速く、「オデッセイ」のマリオがう回路を探してようやく登れる山頂や、「ブレワイ」のリンクがえっちらおっちらのぼるような岩壁をスイスイのぼっていく。
また、隠しアイテムやチャレンジのクリア報酬で得られるものによって、自キャラを自分好みに強化していくことができて、成長のテンポがいい。
総じて、「オデッセイ」と「ブレワイ」と比較すると、「バナンザ」にはコンパクトなスピード感がある。
しかし閉塞感はあまり感じなかった。ステージは箱庭状で限定的だが見えるところにはどこでもいけるし、広いので探索のし甲斐があり、オープンワールド的な自由さを感じることができた。
とはいえこのゲームが神ゲーになるかはやはりその人次第であろうか。「バナンザ」には「ブレワイ」のような「苦労するけど探索していくワクワク」や「静かな冒険の趣き」はないし、「オデッセイ」のステージクリアと旅行の楽しさが絶妙にリンクした充足感はない。
しかしDKが物を破壊して進めるというのは新しい自由度の形だし、岩などを破壊するその音は低音が利いていて気持ちよく、登場するキャラたちに通底する7~80年代あたりのソウル・ファンク文化をモチーフにした独特の楽天性や、この「バナンザ」特有の底抜けの陽気さは触れていてかなり楽しい。
筆者の近年の神ゲーは、「ブレワイ」の次作に当たる「ティアキン(ゼルダの伝説ティアーズオブザキングダム)」一択なので、「バナンザ」を神ゲーと称するまでにはいかないが、「相当な良ゲー」であるということはできそうである。