一旦ファンのスタンスを取ってしまうと、フラットな関係を築くのは非常に難しいからです。

 僕自身、せっかく継続的にお目にかかる機会をいただきながら、ファン状態に戻ってしまい、関係が壊れてしまった苦い経験が何度かあります。ミーハーな感情や依存心が大きくなり、お相手に好かれたいがあまり、顔色ばかりうかがうようになってしまっていたんですね。

 結果、積極的な提案ができなくなったり、逆に距離を詰めすぎてしまったり…そんな自分を見失った状態では、先方も長く付き合っていきたいとは思えなかっただろうなと、今では反省しかありません。

トップランナーたちが
求めている話し相手の特徴

 いくつかの手痛い失敗を経て、僕は出会ったどなたかとお仕事をする機会に恵まれた時は「この仕事は本当にやりたいことなのか。お相手の役に立てることなのか。ただこの人と仲良くなりたいだけではないだろうか。ファンだから一緒にいたいだけではないだろうか」と自問するようにしています。

 もし自分の中に少しでも迷いがあれば、どんなに魅力的なお相手やお話でも僕はその話を進めません。逆に、いったん「この方とお仕事をする」と決めた場合は、ファン感情や好意を切り離して、「相手の役に立つことは何か」という視点に徹するよう心がけています。

 それゆえ、僕は周囲の方々が言いづらいことも、忖度することなくお相手に伝えます。今も関係が続いている方の多くはそうした部分を評価してくださっているように思います。

 特にトップランナーと呼ばれる方たちは、「裸の王様」になってしまうことを常に危惧しており、フラットに接する相手を周囲が想像する以上に必要としていると、これまでのお付き合いから実感しています。

 僕は強靱な精神力を備えているわけではありません。お相手といつでもどこでも一緒にいたら、フラットなスタンスを100%貫くことは正直不可能だと思います。でもだからこそ、適度な距離感を保つことを大切にするよう心掛けています。

 会社の設立記念日などお相手にとって特別な日は、あなたにとっても大切な日です。こうした「特別な日」前後でもしお目にかかる機会があれば何かをお贈りしても良いですし、定期的におたよりを書くきっかけにもなります。