米利下げ・日銀利上げでも進まない「円高」、高市経済対策が招いた外的ショックへの脆弱性Photo:JIJI

米利下げ&日本利上げ
それでも進まない円高

 米国では、12月10日の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利が現行の3.75-4.00%から0.25%引き下げられることがほぼ確実視されている。一方、日本では、12月19日の金融政策決定会合で、政策金利が現行の0.50%から0.25%引き上げられるとの予想が強まっている。

 こうした傾向は来年にかけても続くと予想される。先物市場に織り込まれている予想では、米国の政策金利が来年末までに3%前後にまで下がる一方、日本の政策金利は1%を超えて緩やかに上昇を続けていくと見られている。

 金融政策の方向性が日米で完全に逆向きになっている場合、為替市場ではドル安・円高が進むのがセオリーである。為替相場に大きな影響を与えるとされる日米長期金利差は実際に大きく縮小している。ところが、なぜかドル安・円高はたいして進んでいない(グラフ1)。

 もっともドルは、円以外では安値で推移している。主要通貨に対するドルレートの加重平均値であるドル・インデックスは、2022年以来の最低水準近辺で推移している。つまり、ドル安円高が思うように進まない原因は、日本円の側にあることになる。

 長期的な視点でみると、通貨としての円の実力を示す実質実効為替レートは歴史的な低水準にまで落ち込み、しかもその下落傾向に反転の兆しは見られない(グラフ2)。