ですから、衰えて動けなくなる前に、筋肉トレーニングの習慣をつけるだけでいいのです。

 予定しているがん治療や大きな手術の前に筋肉トレーニングをしたら、術後の回復がよくなり、術後合併症が予防できたという報告が増えています。それは、このメカニズムが働いています。

 50歳を越えたら、適切な筋肉トレーニングの習慣をつけましょう。

筋トレをしていた老人は
骨が20〜30歳も若返った

 50歳以降は骨量が低下して骨粗鬆症に進行する一方で、異常な骨が形成され、60歳を越えると脊椎や大きな関節に変形が生じてきます。

 そこで、図に20歳から100歳までの年齢別の腰椎の自然経過を示します。

20歳から100歳まで、年齢別に見る腰椎の自然経過(『筋肉革命95 何歳からでも実現できる95歳で当たり前に歩いて楽しむ人生を』より)20歳から100歳まで、年齢別に見る腰椎の自然経過(『筋肉革命95 何歳からでも実現できる95歳で当たり前に歩いて楽しむ人生を』より) 拡大画像表示

 男性では70歳代から骨変形が進行して、80歳代で骨棘(骨のとげ)形成が顕著になり、90歳代以降では圧迫骨折を認めます。ところが、筋肉トレーニングを継続した90歳代の腰椎は70歳代の骨状態に近いのがわかります。

 一方、女性は60歳代から骨変形がおこり、70歳代で骨棘形成が進行します。

 80歳代以降では圧迫骨折を認めるようになります。なんと、筋肉トレーニングを継続した90歳代では60歳代に近い骨状態です。筋肉トレーニングを続けている90歳代では健常な骨状態が保てることがわかりました。