そのことは、誰でも知っているでしょうし、頭では理解しているはずです。でも、リーダーと部下の間でのコミュニケーションが希薄な状態にある現場が多いのです。
コミュニケーション不足になる一番の原因は、各自の考えや思いを伝える機会を作ろうとしないことです。
部下との距離を縮めるには
自分から声をかけるのが一番
私が知るサービス業の店舗で、店主が新たな方針を考えて、それをスタッフに伝えたところ、全員から「NO」を突き付けられ、「店長の考えていること、やりたいことが分からない」とも告げられてしまいました。
店主としては、新たに打ち出した店の方針については、丁寧に説明しているつもりだったので、スタッフからそう言われたことに驚き、意気消沈してしまいました。
ただ、よくよく聞くと、店主とスタッフの普段のコミュニケーションが希薄であったことが分かりました。店主が外部の勉強会や会合に参加するために外出する際、スタッフにどこに行くのかを告げておらず、どんなことがあったのかなどの報告も、とくにしていませんでした。
また、営業中はお互いの業務に集中しているので、会話をする機会が少なかったようです。今回の方針については、店主が1人で考え、すべて決めたと聞きました。
そうした中、いきなり明日から新しい方針で店を運営していくと言われたスタッフは、青天の霹靂だと感じたわけです。
この店ではその後、店主がスタッフと会話をする機会を増やすことで、関係性が徐々に修復されていき、店主が打ち出した方針を受け入れてもらえるようになりました。
リーダーは多くの業務を抱え、日々忙しく働いているので、部下と会話をする時間がなかなか持てない場合もあるでしょう。そうなると、部下との心の距離はどんどん離れてしまいます。何をしているのか、何を考えているのか分からない相手を好意的に受け止めることはできません。