あなたも、リーダーから「あなたならできると信じているよ!」と言われて、「この人から期待されているのだから頑張ろう」と思ったことがあるのではないでしょうか?

 良好な人間関係が築かれていること、部下からリスペクトされていることが前提にはなりますが、仕事を任せる前に、まず一言、「期待している」と伝えると、部下はやる気を出して仕事に励むようになります。

任せた仕事をこなせば
成長につながると伝えよう

 人は自分自身にメリットがあると分かれば、モチベーション高く取り組みます。

 私がセブン-イレブンのFC店を経営していたときに、スタッフに新しい業務を任せる際、「あなたの人生にとってプラスになることだから頑張って」と伝えていました。

 学生スタッフをアルバイトリーダーに任命する際は、「学校を卒業して社会人になったときに、同僚や後輩をまとめられるリーダーシップを身に付けていれば、一目置かれる存在になれるよ」とか「就職活動の採用面接の際に、バイトリーダーをしていたと話せば加点評価がもらえるよ」と伝えていました。

 そうすることで、任せられた仕事が自分のメリットになると感じられるので、やる気を出して業務に取り組みだします。

「成長」はやる気を高める最大のキーワードです。以前の自分よりも成長できたと感じられれば、嬉しい気持ちになりますし、モチベーションが上がります。

 これは、「マズローの5段階欲求説」(筆者注/アメリカ合衆国の心理学者アブラハム・マズローが唱えた、人の欲求を5段階に分類して説明した論)の最上位、「自己実現の欲求」に相当し、同時に「成長欲求」を満たすものです。

 人が生きていくうえで基本的な欲求(食欲、睡眠など)である「生理的欲求」から始まり、「安全欲求」「集団帰属の欲求」「承認欲求」と段階的に高次な欲求を求めるようになります。最上位の「自己実現の欲求」は、自分が成長し、理想の状態になりたいと思える欲求です。