
突然の覚醒を果たした
本人が分析する活躍の理由
「こんにちは!」
心地よい挨拶、そして笑顔いっぱいの表情は、ソフトバンク時代と変わらない。髪質ゆえに、ドレッドヘアにしている長くなった髪をまとめ、ちょんまげ風に頭のてっぺんで括っているのだが、それがまた、水谷の風貌と空気感に、ぴたりとハマっている。
「この1年間、今日までを振り返ってみた時に、あの5年間がなかったら、確実に今はないと思います。スタートから日本ハムに入って、今を迎えていた時に、果たしてここまでの数字を出せただろうか。もちろんチャンスは、もっと早い段階でもらえていたと思うんですけど、成績が出せたかと言われれば、それは多分ないのかなと。僕にとっては、必要だった5年間だったとは思うんですけど、でも、まだあの5年間があったから、今があるとは言いたくない。そういう感覚ではいます」
その“忸怩たる思い”を、新天地で反骨心に変えたという一面は見逃せない。
島根・岩見智翠館高時代には、公式戦で3試合連続本塁打をマークしたこともあるパワーヒッターで、50メートル6秒0の俊足。入団時の身長192センチ、体重90キロと、ナイジェリア人の父譲りともいえる高い運動能力と恵まれた体格は、ルーキーの頃から目を引いた存在で、未来の「右の大砲候補」でもあった。
1年目は主に3軍で鍛えられると、2年目はウエスタン・リーグで50試合に出場、4本塁打、5盗塁、打率.250をマーク。3年目は69試合出場、4本塁打、29打点、8盗塁、打率.276。着実に、成長へのステップを歩んでいるかに見えた。