5年間の積み重ねが
ついに交流戦で報われた
5年目のシーズン終了後、水谷はいったん、契約更改を保留している。だから、という結び付け方はしない方がいいだろうが、契約後、現役ドラフトでの移籍が決まっている。
迷い込んでしまった袋小路から抜け出そうと、水谷も必死だった。
「もちろん九州で活躍するのが球団への恩返しだとは思っていました。ただ、一度しかない自分の野球人生、自分の可能性というか、どうなりたいかを考えた時に、ここじゃなくても道はある、別に日本だけじゃないよね、と思っていた中での移籍だったんです。その中で、どうやって去年を今年につなげるかという1年間にしたかった。今、それが実を結んでいるのかなと思います」
現役ドラフトで移籍した日本ハムでも、2024年の開幕は2軍で迎えた。
初の1軍昇格は4月9日。同11日には、北九州市民球場でのソフトバンク戦に「6番レフト」でスタメン出場、3回に左腕・大関友久からレフト前へプロ初安打・初打点をマークするデビューを果たしたが、13打席をこなした後、同22日に2軍落ちと「僕的には、13打席じゃちょっと、という気持ちもあっての抹消でした」。また、同じことの繰り返しなのか。しかし、ファームで4本塁打を放つと、1ヵ月後の5月21日に再昇格。
「もちろん1軍の戦力とかのタイミングもあると思うんですけど、下(2軍)でしっかりと数字を残していたら、速いスパンでチャンスはもらえるのかな、というのは感じました」
交流戦での大ブレークは、その“二度目のチャンス”からだった。
選手層の厚いソフトバンクで
1軍を守り続けるのは至難
ソフトバンクの場合、先の“一度目”を逃したら、選手層が厚い分、次のチャンスが巡ってくるまで、物理的にも時間がかかってしまう。