「地方税」でも、たとえば、東京都の令和7年度(2025年度)の「一般会計予算」の総額が、令和6年度(2024年度)より7050億円も高い「9兆1580億円」に上ったことが報道されました。

 令和7年度(2025年度)の一般会計予算における都税収入は、6兆9296億円の見込みで、過去最高額とのことです。

 このような物価高によるインフレ下においては、そうではなかった時代につくった「税率表」は、適宜の修正が必要です。そうしないと、「ブラケット・クリープ」による「実質増税」が起きてしまいます。

 日本は、このような修正が必要な時代に、すでに突入しています。いまの「税率表」は、基準となる「所得段階」が設定する「課税所得の額」の改正が必要になるでしょう。

「累進税率」を改正して、課税を強化するのではありません。「段階税率」が上がる条件としての「課税所得の額」を、「所得段階」ごとに見直し、「段階税率」が適用される基準を引き上げることが先決でしょう。

 このような改正を行うことで、「ブラケット・クリープ」による「実質増税」は回避できるはずです。しかし、そのような改正の動きは、いまのところありません。

「基礎控除」の「標準額」の大幅引き上げが行われるべきだったのと同じように、「累進税率」の「税率表」の「所得段階」ごとの基準額も、これに準じて引き上げることが必要になるということです。

 そもそも、物価上昇は、常にあり得ます。そこで、「物価上昇にスライドして、自動的に調整減税を行う措置」を求める意見(北野弘久著=黒川功補訂『税法学原論〔第8版〕』〔勁草書房、2020年〕138頁)が、従前からあることも、付言しておきます。