「日本の給料が世界に抜かれるのは必然だった」――。元ネスレ日本CEOの高岡浩三氏はそう断言する。戦後から続く売上至上主義やメインバンク依存、そしてMBA教育の軽視が「稼ぐ力」を奪い、賃金低迷と競争力の失墜を招いたのだ。特集『高岡浩三の「企業の通信簿」』の本動画では、日本の大企業がなぜ利益を上げられないのかを歴史的・構造的な背景から解説する一方で、欧米との決定的な違いにも迫る。さらに、中小企業が世界市場で勝つためのグローバル戦略や、経営人材を鍛える教育改革など、未来を切り拓くための処方箋を提示。20年前から「日本はやばい」と警鐘を鳴らしてきた高岡氏の言葉は、経営者やビジネスパーソンにとって耳の痛い現実であり、同時に再生へのヒントでもある。
売上至上主義、メインバンク依存、MBA軽視…
戦後の構造が生んだ“稼げない病”の正体
戦後の日本企業は、なぜ「稼ぐ力」を身につけられなかったのか。
高度成長を支えたのは銀行主導のメインバンクシステムであり、企業は利益よりも売上拡大を優先することで成長を遂げてきた。しかしその仕組みは、株主から利益を問われることのない“ぬるま湯”を生み、経営者を「稼ぐ訓練」から遠ざけてしまった。
一方、欧米ではMBA教育を通じて経営者を徹底的に鍛え上げ、利益を出せなければ即座に交代させる厳しい統治環境が整っていた。その差はやがて賃金格差となり、いまや新興国にすら日本が追い抜かれる現実を生んでいる。
では、日本はどうすれば「稼ぐ力」を取り戻せるのか。高岡氏が本動画で語るのは、戦後から続く構造的欠陥の正体と、それを乗り越えるための唯一の処方箋だ。経営者のみならず、すべてのビジネスパーソンに突き刺さる警鐘と提言が、ここにある。
高岡浩三(たかおか・こうぞう)
1960年生まれ。83年神戸大学経営学部卒業後、ネスレ日本入社。30歳で同社史上最年少部長に昇格。「キットカット」受験キャンペーンを成功させ、受験生の定番のお守りになるよう普及させた。2010年よりネスレ日本代表取締役社長兼CEO。オフィス向けの「ネスカフェアンバサダー」を立ち上げ、新たな市場を開拓。20年3月、同社を退社。サイバーエージェント社外取締役。主な著書に『企業の通信簿』『ゲームのルールを変えろ』(ダイヤモンド社)、『ネスレの稼ぐ仕組み』(KADOKAWA/中経出版)、『世界基準の働き方』(PHP研究所)など。
1960年生まれ。83年神戸大学経営学部卒業後、ネスレ日本入社。30歳で同社史上最年少部長に昇格。「キットカット」受験キャンペーンを成功させ、受験生の定番のお守りになるよう普及させた。2010年よりネスレ日本代表取締役社長兼CEO。オフィス向けの「ネスカフェアンバサダー」を立ち上げ、新たな市場を開拓。20年3月、同社を退社。サイバーエージェント社外取締役。主な著書に『企業の通信簿』『ゲームのルールを変えろ』(ダイヤモンド社)、『ネスレの稼ぐ仕組み』(KADOKAWA/中経出版)、『世界基準の働き方』(PHP研究所)など。