肝臓の血量は、寝て体を横にしたときを100%とすると、重力の影響をより受ける立った姿勢のときは70%に落ちる。さらに、立って体を動かしたら、50%にまで下がってしまう。この体のメカニズムからいって、食べたらすぐに横になり、肝臓をしっかり働かせたいというわけだ。
仕事がある日は、昼食を食べ終えたらすぐに立ち上がり、職場や現場に戻ったり、取引先に向かったりする人も多いだろう。肝臓の働き方を知ると、この行動はマイナスなのがわかる。横にはなれなくても、せめて椅子に座ったまま、動かないでいることが大切だ。
飲み過ぎや食べ過ぎで肝臓が疲れているようなら、昼食を終えて職場に帰ってから、椅子をもう1脚利用するなどして、足を水平に投げ出す姿勢を取るといい。寝た姿勢ほどではないが、これでも肝臓への血流は改善される。
肝臓にとって、薬は毒と同じ!少々のことでは市販薬に頼らない
ちょっとかぜ気味になったら、すぐに総合感冒薬を飲む。頭が少し痛いからと痛み止め、おなかの調子がいまひとつなときには胃腸薬を飲んでやり過ごす。こんなふうに、とくに服用する必要はないにもかかわらず、安易に市販薬を飲んで対応する人は多い。
しかし、薬の成分は栄養とは違う。飲んで吸収されたら、小腸から肝臓へと送られて、ほかの臓器ではできない解毒の作業が行われる。市販薬の気軽な服用自体が、肝臓に負担をかけていることを知っておこう。
ムダに薬を飲み続け、その成分が強過ぎた場合、肝臓の健康を損ねてしまうことさえある。また、飲んだ薬が思わぬアレルギーを引き起こし、肝臓に悪影響を与えるケースも考えられる。
薬は肝臓で必ず分解しなければならない異物。その点で、アルコールやアンモニアと同じようなものなのだ。薬の使い方には、もっと慎重になろう。
なかでも、注意が必要なのは抗生物質だ。病気を起こす細菌の増殖を抑えたり、殺したりする薬なので、効き目が非常に強い。飲み薬としての市販薬はないが、塗り薬や目薬などには配合されたものがあるので、そういった薬は軽々しく使わないほうが無難だ。
また、体の中の細菌を殺すという意味では、水虫の薬もじつは薬効がとても強力だ。軽い気持ちで使わないほうがいいだろう。
B型、C型などのウイルス性肝炎にかかっている人の場合、薬の使用にはより一層の注意が必要だ。安易に市販薬を使うと、ただでさえ弱っている肝機能に追い打ちをかけることになる。体調を崩したときには、自己判断で薬に頼るのではなく、必ず医師の診察を受けるようにしよう。
薬と毒とは紙一重。使い方を一歩間違えたら、簡単に毒になってしまう。不要な薬は飲まないと、肝に銘じておこう。