みどりの窓口を削減するなら
サイトの利便性向上に本気を出してほしい

 複雑怪奇なJRの予約サイトも、今般の連携発表によって、ようやく再編がスタートしたかのように見える。ただし、前述したように座席予約システム自体は非常に古く、システムそのものを変更するハードルは高い。そのため各社のサービスやアプリを一つに完全統合するのは引き続き、至難の業と言えるだろう。

 利用者にとって、いくつものサービスに会員登録しなければならないのは大きな苦痛だ。乗り継ぎ割引の適用の有無が分かりにくかったり、システムメンテナンス時間が長かったり、不便な点はなおも残る。

 ネットやスマホがこれだけ普及した現在、予約サイトの使いにくいのは客離れに直結する。実際、これが一因となって撤退に追い込まれたLCCも存在する。ANA合弁時のエアアジア・ジャパン(後のバニラ・エア。現在はピーチに統合)だ。国内線を予約する際に、マレーシアやタイの就航地が大量に出てきて、使いにくいことこの上ないサイトだった。

 他方、JRはネット予約の利便性を向上させなければ、みどりの窓口を削減することもままならない。実際、JR東日本はチケットレス化を前提にみどりの窓口を削減していたが、不便なサイトのまま無理やり進めたこともあって結果的にみどりの窓口が大混雑になった。これが批判され、みどりの窓口の削減計画自体を凍結せざるを得ない事態に陥った。

 本気で鉄道と利用者の未来を考え、コスト削減と利便性の維持を両立するつもりならば、一刻も早く有人窓口機能にも負けないネット予約サービスを構築すべきだろう。

 競合となる飛行機や高速バスは、ホテルとの同時予約も可能なほど鉄道よりも進んだ予約サイトを持っている。また、海外では航空会社の仕組みに鉄道会社が合わせる動きもある。ヨーロッパや中国、韓国の高速鉄道は、トリップドットコムなどの一般的な旅行予約サイトを通じて切符を購入できるオープンな仕組みになっている。

 さらに先進的なケースとして、ドイツ鉄道は航空連合スターアライアンスに、ユーロスターは同スカイチームに加盟している。個人的にはこれこそ顧客目線、利用者ファーストな交通のシームレスな連携だと思う。鉄道を利用すれば航空会社のマイルも貯まり、利用者メリットは大きい。

 外国人観光客(インバウンド)が増える中、新幹線をはじめ日本の鉄道ファンは世界に広がっている。また、日本の鉄道車両やシステムが海外に輸出され活躍しているニュースも増えている。予約システムにおいても、できる限り早く改善を願いたいところだ。

「みどりの窓口」削減なら本気出して!複雑怪奇なJRのネット予約、連携はうまくいくのか