
ホンダがケイレツ再編を断行している。ホンダ系列の部品メーカー、ユタカ技研の保有株50%程度を自動車部品大手のインド・マザーサン・グループに売却する。2023年のホンダロック、24年の八千代工業に続く株式売却だ。ホンダにとって、再編は売却だけではない。「出資比率の引き上げ」を視野に入れ、関係を強固にしたい企業も存在する。特集『自動車 “最強産業”の死闘』の#18では、ホンダが出資比率の引き上げを検討し、日産自動車との提携でも鍵を握る企業名を明かす。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)
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ユタカ技研にマザーサンがTOB
部品ごとの方向性に基づいてサプライヤー分類
ホンダが、同社の命運を懸けて「ケイレツ再編」に挑んでいる。
ホンダ系部品メーカーで排気系部品などを主力とするユタカ技研は8月29日、インドに本社を置く自動車部品メーカー大手のマザーサン・グループが、ユタカ技研に対してTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。TOB価格は、8月28日の終値に対して、6%上乗せした3024円とする。現在、ホンダはユタカ技研の株式を69.66%保有するが、マザーサンに売却することで最終的な保有比率は19%となる。
近年、ホンダはケイレツ再編を断行している。2023年には、ホンダの100%子会社でドア部品などを主力としていたホンダロックの全株式をミネベアミツミに売却した。24年も、ホンダ系列で燃料タンクやサンルーフが主力の八千代工業の株式の一部をマザーサンに売却した。
あるホンダ幹部は、ケイレツ再編の方針について、「10年や15年後のビジョンを踏まえて、部品ごとの方向性が見えてくる。そうした中で、サプライヤーの分類を行い、(再編対象は)この辺りかなという議論をしている。優先順位を付けて、早めに動かないといけないサプライヤーにはマザーサンのような存在に来てもらう」と語る。
もっとも、ホンダに株式を売却される企業にもメリットはある。ホンダ以外との取引を拡大するなど、多角化に挑戦する好機になるのだ。実際、八千代工業は、マザーサンヤチヨ・オートモーティブシステムズと社名を変更して以降、ホンダ以外との取引を拡大しているとみられる。
ホンダのケイレツ再編は、売却だけではない。逆に、「出資比率の引き上げ」によって強固な関係にしたいサプライヤーも存在する。
次ページ以降では、ホンダ幹部らへの取材を基に、ホンダが将来的な出資比率の引き上げを視野に入れる企業名を理由と共に明らかにする。その企業は日産自動車との提携の是非を左右するほど極めて重要なサプライヤーだった。