国際金融規制の“地域最適”シフトで日本の取るべき次の一手Photo:PIXTA

9月22日、英米が資本市場・デジタル資産で協調する「越境タスクフォース」を立ち上げた。ポストEUの英金融戦略と、単独規制の限界を意識する米国の思惑が一致した。このことに代表されるように金融の国際規制は「全体最適」から「地域最適」へと潮目が変わる。日本が取るべき次の一手を検証する。(ピクテ・ジャパン シニア・フェロー 大槻奈那)

英米が協調する資本調達と
デジタル資産の“共通土台”づくり

 9月22日、英国の財務省は、米国と共同でタスクフォースを設立し、デジタル資産規制の枠組みを検討すると発表した。短中期的な規制のあり方や中長期的な協力、イノベーション促進策を検討し、180日以内に施策を取りまとめる。

 米国では暗号資産の法制整備が進んでいるが、国際的に拡大するデジタル資産を単独で規制するのはさすがの米国でも難しいことから、他国との協調を目指すのは自然だ。

 一方、英国は、7月に「英国を世界一の金融拠点とする」という新たな目標を掲げ、EU(欧州連合)離脱後の金融競争力低下を挽回するためあらゆる施策をとると宣言した。この両者の思惑が、デジタル資産の分野で一致したものだ。

 こうした英米の協調の動きは、国際金融規制の「全体最適」から「地域最適」へのシフトを象徴している。

 次ページでは、「地域最適」が進む中での日本が取るべき道筋を検証する。