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米株価高騰、冷めやらぬAIへの熱狂
S&P500上昇幅の約7割はMAG7
米国株式市場は、10月20日のニューヨーク市場で、ダウ平均株価(30種)の終値が4万6706.58ドルと、3日に記録した過去最高値(4万6758.28ドル)に迫るなど活況が続く。
株価をけん引するのが、AIブームだ。9月には米半導体大手エヌビディアがChatGPTを提供するOpenAIに対して、データセンターなどのAIインフラ整備を目的に最大1000億ドル(約15兆円)の投資を発表した。高収益を背景にマグニフィセント7(MAG7:アルファベット、アマゾン、マイクロソフト、アップル、メタ、テスラ、エヌビディア)と呼ばれる巨大テック企業によって、ここ2年ほどで大規模なAI投資が盛んに行われている。
市場ではテック銘柄を中心に株価が高騰している。9月末時点でマグニフィセント7の株価は年初来19%上昇し、代表的な株式指数であるS&P500の年初来上昇幅9.5%のうち、約7割はMAG7によるものだ。
さらに米国では、家計資産に占める株式や投資信託の割合が増えるなかで、高所得家計の保有が集中、所得上位20%の高所得家計の保有シェアは約87%に及ぶ。高所得家計による消費支出は米国の総消費の約4割程度を占めており、株高はこうした富裕層の消費拡大を支えている。
トランプ関税による景気減速が懸念されているにもかかわらず、足元ではAIブームの恩恵を受けた少数のテック企業と富裕層が経済全体を支える構図がより顕著になっていると言えるだろう。
だが株式市場の活況を巡っては、最近になってFRB(米連邦準備制度理事会)の高官や国際機関から警戒の声が上がり始めた。
「株高依存」で米国経済は堅調だが、もろさと隣り合わせのリスクをもっている。







