「若いときの苦労は買ってでもせよ」という一般論からすると、やや意外に思われる結果ですが、ベテランになったあとにこそ「逆境する学び」がカギになるのは、なぜなのでしょうか?

 ここには、「新人バイアス」や「現状維持バイアス」の影響を考えることができます。

「新人バイアス」とは「学びとは新人や若手のものだ」という思い込みのことでした。

 また、「自分はいまのままでも十分やれている」とする「現状維持バイアス」についてもすでに確認したとおりです。

 ミドル層のなかには「自分はもうベテランなのだから、新しく学ぶ必要はない」「いまさら勉強するのは恥ずかしい」という考えが生まれがちです。

 仕事をひととおり覚えたミドル層こそが、新人バイアスや現状維持バイアスにいちばん囚われやすいとも言えるでしょう。

 しかし、時代の変化が激しく、求められるスキルや役割が変わっていくなかで、「学びをやめてしまうこと」はむしろリスクになります。

 つまり、新人バイアスや現状維持バイアスに囚われることなく、正面から失敗や困難に向き合って、そこから学びを得続けることが、ミドル層の幸せや活躍にとってのカギになるということなのでしょう。

古い知識は手放して
もう一度アップデートしよう

 ミドル層の「逆境する学び」には、「アンラーニング(Unlearning 学習棄却)」が重要です。アンラーニングとは、現状に合わなくなった従来の知識やスキルをいったん手放し、新しく学び直すことを意味します。