監督や選手の意向より、確率論が重視されているからでしょう。最強打線と呼ばれるドジャースでも、大谷選手とムーキー・ベッツ選手が1、2番コンビで活躍しています。
どちらが理にかなっているのか、私なりに検証してみます。
4番に強打者がいると
前のバッターは楽に打てるが…
まず「4番最強説」の日本から考えてみましょう。
チームカラーによって違いはありますが、日本では1番に足が速く、出塁率の高い選手を起用します。そして2番には小技が得意で、足が速くて併殺確率が低い選手を起用。1、2番が出塁してチャンスをつくり、3番と4番で得点するという考え方です。
もう少し具体的に紹介します。1番が出塁し、2番が送りバントをするとします。一塁が空いた状況で3番打者と勝負するのですが、4番に最強の打者がいれば3番とはストライクゾーンでの勝負になります。3番打者が4番打者より能力が落ちたとしても、得点する確率は上がるわけです。
この理屈でいうと、4番に1発のある最強打者を据えると、相手バッテリーはその前に走者を出したくありません。それで1番から3番までは「四球を出すよりも勝負を優先」となり、ストライクゾーンで勝負するため、バッターにアドバンテージが生まれます。
この考え方は間違っていません。
日本のバッテリーは、バッターに対して「ボール球を振らせよう」とします。四球を出せないとなれば、勝負は難しくなります。そういった意味では「4番最強説」は理にかなっている打順だと言えるでしょう。
得点力を左右するのは
打順の並びよりも打席数の差
しかし、大きなデメリットがあります。ここで2024年のセ・リーグとパ・リーグを合わせた打順別の1試合平均打席数と、前を打つ打順との平均打席数の差を調べてみました(表1-5)。

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