2人が同時に1番打者にはなれませんが、1シーズンで「ON砲」が1、2番を打てば5本塁打ぐらいはホームラン数が増えます。もちろん、それほど単純にはいかないでしょうが、こうやって考えると、当時の巨人打線は想像を絶する強力打線です。
考えるだけでも楽しくなります。
昔ながらの2番打者は
今後絶滅危惧種に
少し横道に逸れましたが、もう少し深く最強打者をどの打順にすればベストなのかを考えてみましょう。
セ・リーグとパ・リーグでは「DH制」の有無の違いがあります。
1番に最強打者を据えても、前を打つバッターは9番打者になります。9番は、セ・リーグでは主に投手の打順です。それならば1番に最強打者を置くより、2番や3番にした方がいいと考えられます。
そんな日本の「4番最強説」のデメリットを考慮したのが、メジャーの「2番最強説」です。「いい打者に少しでも多くの打席を回す」という考えが、1番と2番に最強打者を据えるメジャーの理屈です。下位打線に打てるバッターがいるなら、尚更でしょう。
どちらが正しいのでしょうか?
日本野球の「4番最強説」の考え方を説明し、正しいとしましたが、それはあくまでも確実に1番から始まる初回のみの考え方です。
さらに、送りバントをするより、しない方が得点確率は約20%も高くなることが証明されています(編集部注/近年の3年間を平均すると、犠打をした場合の得点確率38.5%に対し、しなかった場合の得点確率は59.9%)。
それに日本では接戦に強いチームが強いチームと思われがちですが、序盤で大量得点を狙って大勝する方が優勝確率は上がるという事実があります(編集部注/セ・パの直近10年で、1点差ゲームの勝率が1位のチームが優勝したのは6回。対して3点差ゲームで最高勝率を記録したチームが優勝したのは16回、5点差ゲームでは13回優勝している。序盤に大量リードを奪えると、投手の疲労を軽減することができたりさまざまなメリットがある)。
統計的な観点からいえば、「4番最強説」より「2番最強説」の方が理にかなっています。

もちろん、チームカラーにより、あまりにも下位打線に非力のバッターが多ければ「4番最強説」でもいいと思います。
しかし、優勝を狙うチームをつくるなら、強打者を育成し、「2番最強説」を目指した方がいいと思います。
ちなみに現代野球では、私のような小細工が取り柄で、チーム打撃を実践する打者は2番には適していないということがいえるでしょう。少し寂しい気がしますが、これも時代の流れが生んだ新しい常識になっていく気がします。