
全国の81大学病院の7割が赤字になった2024年度、病院を抱える学校法人慶應義塾と医学部が欲しい学校法人早稲田大学のどちらが稼いだのか。病院を運営する強みと弱みはどう影響したのか。連載『教育・受験 最前線』では、私立大学2強である早稲田大学と慶應義塾大学、それぞれを運営する学校法人の財務対決をお届けする。早稲田大学も実は寄付金を稼ぐ力を持ち、慶應義塾は寄付金よりも稼ぐ収入源がある。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
早稲田も実は寄付金を稼ぐ力を持ち
慶應は寄付金よりも稼ぐ収入源がある
全国の81大学病院の2024年度経常収支が、計508億円の赤字になった。全国医学部長病院長会議が9月末に公表したもので、計108億円のマイナスで赤字に転じた23年度からさらに悪化した。81病院全体で収入は増えたものの、物価高騰や人件費の増加でコストが収入を上回るほどに膨らんだ。81病院のうち57病院が赤字となり、赤字病院が大量発生した。
私立大学2強「早慶」のうち、医学部と大学病院がある慶應義塾大学もこの逆風と無縁ではいられない(『慶應義塾の大看板「医学部」に異変!ブランド大学病院が“足手まとい”になる日』参照)。
病院経営が厳しいとはいえ、医学部は学力トップ層の受験生から人気が高いのはもちろん、教育・研究機関として世界的に評価されやすく、他の学問分野とも連携して研究や開発の幅を広げることができる。だから早稲田大学は、医学部を持つことを長年目指してきた。いつか医学部を買収するためにも、経営体力を持っておく必要がある。
そんな早慶を財務で比較すると、どっちが稼いでいるのか。どっちが稼ぐ力を持っているのか。どっちの財務が健全なのか。どっちが寄付金を集めているのか。どっちが資産をうまく運用しているのか。
受験生が学校を選ぶときに注目すべきは教育や研究の質で、財務の優劣を話題にする必要がないという声が少なからずある。しかし、教育や研究の質を高めるためには、そこに投じる資金が欠かせない。稼いだ資金で教育や研究の質を高めるから、また資金が集まる。故に、進学先選びでは、財務状況にも目を配りたい。
次ページでは、早稲田大を擁する学校法人早稲田大学と慶應義塾大を擁する学校法人慶應義塾の財務対決をお届けする。病院を運営する強みと弱みはどう影響したのか。早稲田大学も実は寄付金を稼ぐ力を持ち、慶應義塾は寄付金よりも稼ぐ収入源がある。