教育・受験 最前線#29Photo:PIXTA

首都圏の中堅私立大学群「日東駒専」(日本大学、東洋大学、駒澤大学、専修大学)の中で2つの大学に受かった合格者は、最終的にどちらへ進学するか。この「ダブル(W)合格者の進学率」で東洋大学は、最新の2025年度入試でも他の3大学に圧勝した。首都圏の難関私立大学群「MARCH」(明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学)では明治大が、関西の中堅私立大学群である「産近甲龍」(京都産業大学、近畿大学、甲南大学、龍谷大学)では近畿大がそれぞれ圧勝。大学群の中で抜きんでた明治大、東洋大、近畿大は、一つ格上の大学群の壁をも越えたのか。連載『教育・受験 最前線』では、連載内特集『大学入試2026』を10回以上にわたってお届けする。第4回は日東駒専W合格者の進学率データを公開するとともに、各大学群の間にある壁がどうなっているかを徹底検証した。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

東進「日東駒専W合格勝敗表」
東洋大が他の3大学に圧勝

 首都圏の中堅私立大学群「日東駒専」(日本大学、東洋大学、駒澤大学、専修大学)の中で2つの大学に受かった合格者は、最終的にどちらへ進学するか。この「ダブル(W)合格者の進学率」は、大手予備校である東進ハイスクールが分析しているもので、本特集#1では私立大学の2強である「早慶」(早稲田大学、慶應義塾大学)#2では関西の難関私立大学群「関関同立」(関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学)#3では首都圏の難関私立大学群「MARCH」(明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学)での勝敗について、最新2025年度入試の結果をお届けした。

 日東駒専については、25年度入試でも東洋大が他の3大学に圧勝(下表参照)。19年度に日本大に逆転して首位になって以降、2位以下との差を広げている。

 25年度入試では、東洋大と日本大の両方に受かったW合格者が10人いれば、8~9人は東洋大に進学(進学率81.5%)。駒澤大とのW合格者も8~9人(同80.8%)、専修大とのW合格者は7~8人(同74.4%)が東洋大を進学先に選んだ。

 日本最大のマンモス大学である日本大は、23年に起きたアメリカンフットボール部員の違法薬物事件への対応やその後の経営陣の内紛で組織の体質に対する不信を招き、イメージが悪化。受験生からの人気を落とし、24年度に2番手の座を駒澤大に奪われた。25年度も日本大と駒澤大の両方に受かったW合格者が10人いれば、5~6人は駒澤大に進学(同52.6%)。日東駒専の2番手は駒澤大、3番手が日本大のままで、これに専修大が続く。

 関西の中堅私立大学群である「産近甲龍」(京都産業大学、近畿大学、甲南大学、龍谷大学)では、25年度入試も引き続き、近畿大が他の3大学に圧勝した。

 東進ハイスクールなどを運営するナガセの市村秀二常務執行役員は、MARCHの勝負では明治大が「より抜きんでてきた」と評しており、この抜きんでた存在が日東駒専では東洋大、産近甲龍では近畿大ということだ。

 では、大学群の中で突き抜けた大学は、一つ格上の大学群の壁をも越えるのか。明治大は「早慶上理」(早稲田大、慶應義塾大、上智大学、東京理科大学)のいずれかの大学にも受かったW合格者に進学先として選ばれたのか。東洋大はMARCHのいずれかの大学にも受かったW合格者に進学先として選ばれたのか。近畿大は関関同立のいずれかの大学にも受かったW合格者に進学先に選ばれたのか。

 次ページでは、最新25年度入試データから、各大学群の間にある壁がどうなっているかを徹底検証した。