教育・受験 最前線#25昨年度の大学入学共通テストの志願票受付までは郵送だった Photo:JIJI

9月16日から「大学入学共通テスト」の出願受け付けが始まった。連載『教育・受験 最前線』の本稿では、共通テストで今回から初めて解禁されたWeb出願の意外な影響に迫る。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)

出願受付初日の出願数は
前年度から大幅に減少

 来年1月17~18日に実施される2026年度の「大学入学共通テスト(共通テスト)」の出願が9月16日に始まった。例年と異なるのは、大学入試センター試験の時代を含めて、Webによる出願手続きが初めて導入されたことだ。

 これまでは、現役受験生の場合、各学校が志願票を取りまとめて大学入試センターに郵送で送付していたが、今回のオンライン化によって、個々の志願者が専用の出願サイトでマイページを作成して必要な個人情報を登録した後に検定料を支払う、という仕組みに変わった。なお、10月3日午後5時までに登録を終え、同日午後11時59分までに検定料を支払えば出願完了となる。

昨年度の大学入学共通テストの志願票受付までは郵送だった昨年度の大学入学共通テストの志願票受付までは郵送だった Photo:JIJI

 この施策の狙いは、高校の負担軽減と志願者の利便性の向上、そして共通テストの実施コストの削減だ。一方、懸念材料として、学校単位の志願票送付から個々の志願者の出願に変わることによる出願ミスの増加や、想定外のシステムトラブルといった制度変更の初年度故の混乱も指摘されている。

 大学受験関係者の間で取り沙汰されている影響はそれだけではない。共通テストの出願数や平均点の変動も指摘されているのだ。実際、大学入試センターは16日、受付初日の出願状況を公表したが、同日午後5時時点における出願数は2945人で、郵送受け付けだった前年度初日の出願数1万0400人から大幅減となった。

 なお、今年1月に実施された25年度の共通テストの出願数は49万5171人と、7年ぶりに前年度より増加に転じていた。

 大学入試センターは「最終的な出願数への影響は不明だが、検定料の支払い手続きが変わったことが主な要因と考えている」と言う。一方で、「Web出願の解禁により、26年度の共通テスト出願数は再び減少に向かう可能性が高いとみている。同時に平均点への影響も考えられる」と指摘するのは、大学通信の井沢秀情報調査・編集部部長だ。また、ある予備校関係者も同じく出願数の減少と平均点への影響を予想した上で、「今回のWeb出願の解禁は、将来的に大学入試の在り方を変える可能性さえある」と話す。どういうことか?