ネイティブの子どもが英語を獲得する10のステップとは

(1)第1段階の、「言葉を発する」は、生まれたての赤ちゃんの時期です。言葉にならない声を出しながら、次第に母語の「音」を覚えていきます。そして、「音」に「意味」があることに気づいていきます。

(2)第2段階から第4段階は、幼児期(2~4歳)にあたります。先ほど「母語の基礎は4歳までに完成する」と書きましたが、その時期ですね。よく見ると、順に「伝える、尋ねる、答える」と「言葉の3大機能」を身に付ける時期であることが、おわかりいただけると思います。

「自分の意思・欲求を相手に伝える」(第2段階)
「相手に尋ねる」(第3段階)
「相手に答える」(第4段階)

 言い方を変えると、「伝える、尋ねる、答える」という言葉の基本機能を身に付けると、母語の基礎は完成するのだ、とも言えるでしょう。

(3)第5段階以降は、「母語が完成する」10歳ころまでを想定しています。ピアスの考えに従えば、パーソナル・パワーを身に付け、自分を世界との関係で認識できるようになる時期ということになると思います。
第5段階の「相手に働きかける」から、第10段階の「分析する・判断する」まで、すべて「言葉の3大機能」を深化・応用していくプロセスなのです。

 例えば、第9段階の「思う・考える」や最後の「分析する・判断する」の中には、第3段階の「尋ねる」という基本機能が生かされています。すなわち、「なぜだろう?」とか「どうしてかしら?」という問いを自分に向けることから、考えや判断は生まれるからです。

 もう一度、この時期をおさらいしておくと、次の6つの力を身に付ける段階です。

「相手に働きかける」(第5段階)
「自分の気持ちを表す」(第6段階)
「自分について述べる」(第7段階)
「第三者について語る」(第8段階)
「思う・考える」(第9段階)
「分析する・判断する」(第10段階)

 これで、ネイティブが言葉を獲得する10ステップについての基本的な説明を終わりますが、このような抽象的な説明だけではなかなかイメージが湧かない、という読者が大半だと思います。