SF作家の小松左京など
名だたる作家たちを輩出
村上のほかにも、旧制神戸一中・神戸高校の卒業生で名だたる作家が出ている。
『日本沈没』など多くのSF作品を発表した小松左京が、旧制時代の卒業だ。人類と文明の可能性を模索し続けた小説家で、SF小説における日本の第一人者だ。
1970年の日本万国博覧会(大阪府吹田市の千里丘陵)で、テーマ館サブプロデューサーを務めた。旧制三高を経て京都大イタリア文学科卒。
直木賞作家で初代文化庁長官を務めた今日出海は、旧制神戸一中に入学したものの旧制私立暁星中学に移った。兄の今東光(旧制関西学院中学部を中退し旧制豊岡中学に転校したが、退校処分)も弟に遅れること6年後に、直木賞を受賞したことが語り草になっている。
さらに昭和期の小説家で、『足摺岬』などで知られる田宮虎彦、日本のSF作家の始祖の一人といわれる海野十三(じゅうざ)が旧制卒だ。
公認会計士の山田真哉は、2005年に出版した『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』が160万部を超える大ヒットとなり、一躍、時の人となった。
松岡享子は児童文学作家、翻訳家で初代の東京子ども図書館理事長などを歴任した。22年1月に死去した。
ホトトギス派の俳人・後藤比奈夫、友岡子郷(しきょう)も卒業生だ。友岡は2022年に死去した。
詩人では、津村信夫がいた。兄は映画評論家の津村秀夫で、兄弟とも旧制神戸一中卒だ。
原條あき子も詩人で、旧制兵庫県立第一高等女学校(神戸高校の前身)卒だ。芥川賞受賞作家の池沢夏樹(都立富士高校卒)の母で、声優、エッセイストの池沢春菜(成城学園高校卒)は孫だ。
多くの美人画を残した
画家・詩人の竹久夢二
芸術や芸能の分野で活躍した人物を、見てみよう。
画家、詩人で多くの美人画を残した竹久夢二は、明治時代に神戸尋常中学(のちの神戸一中)に入学したが、父親が家業の造り酒屋をたたんで福岡県に転居したため、すぐに中退した。上京後に18歳で旧制早稲田実業学校に進んだ。







