ただ、いい選択、ポジティブな選択をすれば、少なくとも何かが変わる可能性は生じます。それならやらない手はないでしょう。
私は30代のとき、市役所で働きながら大学院に通っていたのですが、市役所での出世をあきらめて哲学に力を入れるという選択は、ある意味リスクの高いものでした。
おそらく多くの人は、「市役所で真面目に働き、頑張ったほうがいい」と思うでしょう。
 『悩まず、いい選択ができる人の頭の使い方』(小川仁志、アスコム)
『悩まず、いい選択ができる人の頭の使い方』(小川仁志、アスコム)
実際、博士後期課程にまで進んだときには、さすがに先輩たちが「係長試験の勉強をしたほうがいい」とアドバイスしてくれました。
でも、当時すでにサルトルの哲学も知っていた私は、自分の決断をリスクだなどとは思っていませんでした。
むしろ、これが自由の行使だと、ワクワクしていたのを覚えています。
選択できるというのは、人間の特権です。物はおろか、ほかの動物にもできることではありません。
サルトルは、「人間は自ら作るところのものとなる」とも言っていますが、そのためには、自分で考え、いい選択を重ねていくことが不可欠なのです。







