わが子が伸びる中高一貫校&塾 2026年入試直前版#17Photo:PIXTA

首都圏の中学受験の“開戦”まで残すところ2カ月余り。特集『わが子が伸びる中高一貫校&塾 2026年入試直前版』の#17では、11年ぶりの「サンデーショック」が起きる2026年入試の行方について、中学受験に精通する有識者を直撃。サンデーショックで難化する学校、易化する学校や、26年入試でブレイク必至の注目校を占う。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)

2026年入試の受験者数は25年入試並みか
「サンデーショック」で“読めない”入試に

 首都圏(1都3県)の直近2025年入試の受験者数は、日能研の推計で6万2200人と昨年から3000人以上の減少となり、15年から右肩上がりを続けていた受験率の方も21.5%と、10年ぶりの減少に転じたことが話題になった。

 では、残り3カ月を切った26年の首都圏中学入試はどうなるのか。このまま過熱が叫ばれる中学受験ブームがピークアウトに向かうのだろうか。

 首都圏模試センター教育研究所の北一成所長は「当初、26年入試の受験者数は25年入試からさらに微減に向かうとみていたが、模試の受験者数が想定以上に増加していることから、少子化と相殺しても25年入試と同程度になるだろう」と予想する。その背景にあるのは「中堅校人気の高まり」(同)だ。

 森上教育研究所の森上展安代表は「この1~2年で鮮明になったのは、難関校や上位校と呼ばれる偏差値が高い学校がほぼ全面的に志願者を減らしている一方で、中位校以下の学校では増加していること。その背景は高校授業料無償化で、東京都などだけでなく全国に広がることが決まったことが大きい。結果、神奈川県、千葉県、埼玉県をはじめ東京都の周辺の県で、受験生が増える可能性がある」と指摘する。

 26年の首都圏の中学入試を俯瞰すると、ほぼ昨年並みの競争となるのは必至の様相だが、さらに26年入試では、難関校狙いの女子受験生にとって例年にはない不確実要素がある。「サンデーショック」だ。

「26年入試におけるトピックの一つは、11年ぶりに2月1日が日曜日に当たることで起きる『サンデーショック』だ」と、SAPIXの広野雅明・教育情報センター本部長は言う。

 2月1日は、東京都と神奈川県の私立中学校入試の解禁日で、多くの中高一貫校が午前中に入試を実施することから、首都圏の中学受験における“天王山”となっている。ところが、26年入試の同日はキリスト教の「安息日」である日曜日。その結果、プロテスタント系の学校の一部が入試日を変更することで、受験動向に大きな影響を与えることが確実視されているのだ。

「女子御三家の一角である女子学院をはじめ、東洋英和女学院や立教女学院、横浜共立学園といった学校が入試日を2月2日に変更するため、2月1日は例年よりも入試実施校が減り、逆に2月2日の入試実施校が増えることで、併願日程の組み方が例年よりも難しくなる」(同)わけだ。

 ただし、15年の前回サンデーショックと26年のそれには大きな違いもあるという。「この11年間で渋谷教育学園渋谷や広尾学園などの共学の進学校が力を付け、また女子校でも豊島岡女子学園や鴎友学園女子、吉祥女子、洗足学園などが前回のサンデーショック時よりも躍進した。さらに前回のサンデーショックでは2月2日に入試日を変更したフェリス女学院が2月1日のまま入試を実施する。このため、前回のサンデーショックとは、難易度や志願者数において異なる変化になるであろう」と、広野氏はみる。

 早稲田アカデミーの丸谷俊平中学受験部部長も、「例えば、受験生の親世代が中学受験に挑んだ2000年ごろと25年の偏差値60付近の学校の数と比べると、段違いに今の方が増えている。難関校、上位校の選択肢が増えた結果、必ずしも一部の学校だけにとらわれない志望校選びが広がっている」と指摘する。

 プロテスタント系のフェリス女学院が、2月2日に入試日を変更せず、例年通り2月1日に実施すると決めたことも、これまでにない併願を可能にした。

「女子学院とフェリス女学院という共にプロテスタント系の名門女子校が初めて併願できることが、首都圏の中学受験の歴史から見ても注目される」と言うのは、アップ執行役員で進学館ルータス統括の吉田努氏である。「洗足学園が26年入試から第3回入試をやめ、2月1日の第1回入試の定員を40人増の120人に変更し、試験回数を2回に。吉祥女子も26年入試の2月1日午前の第1回入試の定員を10人増の144人にする一方で、2日の第2回入試の定員を10人減の90人に変更するが、いずれもサンデーショックを見据えた動きだ」と吉田氏。

 このサンデーショックを前に、女子受験生はどのような志望校選びを考えているのか。次ページでは、四谷大塚の模試の志願者動向からサンデーショックの各校への影響を読み解く。

 難化・易化する学校はどこか。そして、26年入試ではサンデーショックと並ぶインパクトになるといわれる注目校を見る。