『ルポ M&A仲介の罠』(藤田知也、朝日新聞出版)
中小企業庁財務課の説明では、M&A DX社は「不適切な買い手」だと認識しながらM&Aを成約させていて、登録業者が守るべきガイドラインで定めた善管注意義務に反すると判断した。仲介手数料を徴収できず、買収資金が払われない疑いがあるとわかりながら、そのことを売り手に伝えなかったことが問題視された。
中小企業庁は買い手や売り手などの詳しい情報を公表していない。ただ、私が複数の関係者から得た証言や情報を総合すると、処分理由となった問題事例の「不適切な買い手」とは、M氏であるに違いなかった。
M&A DX社は少なくとも4社にM氏を紹介してM&Aを成約させ、4社すべてで契約が守られないなどのトラブルが起きている。4社とは、2023年10月の新宿屋に続き、2024年1月に買収された佐賀県の会社、同3月買収の岐阜県の会社、同5月買収の三重県の会社。被害に遭った経営者同士が連絡を取り合うなどしていたために浮かんできた。







