大切なのは、自分の役割をしっかり担うこと

 書籍『やっぱり、このゴミは収集できません ~ゴミ清掃員がやばい現場で考えたこと~』の中で、滝沢さんはこう記している。

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僕は仕事は役割だと思っている。社会の中に組み込まれている仕事は誰かがやらなくてはならない。そのひとつの役割を担っている。
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 居場所があって、自分の役割をしっかり担うこと――それが、組織やチームの中で大切な“個人の姿勢”といっていいだろう。

滝沢 いつでも、僕らは主役に目を向けがちで、多くの人が「自分も主役になりたい!」と思っています。でも、野球の2番バッターにも6番バッターにも、それぞれの役割があるように、たとえば、テレビの世界では、出演者の一人ひとりが自分の役割に徹することで番組が成り立ちます。

 ゴミ清掃員になるまで、僕は、街の日常というものが当たり前に存在すると思っていたのですが、誰かがゴミを回収しているから、きれいで安全な場所が生まれるわけで……みんなが自分の仕事の役割を全うすることで社会が回っていることに改めて気づきました。

 職場においては、上司や先輩社員、あるいは人事担当者が、新入社員一人ひとりの仕事の役割に気づかせることも重要だ。

滝沢 ゴミの分別は難しいのですが、たとえば、方法を周知する人(ゴミの分別を教える人)を上司とするなら、その上司は部下に、ゴミの分別が何のために必要なのか――つまり、その仕事にどういう意味があるのかを、部下の役割とともに説明するのがよいと思います。「みんなのルールだから守って!」では、納得がいかない人もいるでしょう。「ゴミの分別」には、「ゴミを減らす」という目的があります。資源とゴミの区別をつけて、ゴミ自体をいかに減らすか――これが、分別の目的です。そのことを知れば、ゴミの分別を納得して行う人も増えるはず。会社での仕事においても、「何のためにやるのか」を理解しないと、部下は上司の言うことに納得しませんよね。「この会社でのあなたのポジション(役割)は○○で、□□をやってもらうことで、チームが成り立つ」と説明すること――「とにかく、ゴミを分別して!」ではなく、「ゴミを分別する目的は~」の部分が大切だと思います。