
9月8日、生命保険系の大型乗り合い代理店FPパートナーに便宜供与を行っていた生命保険会社に対して出された報告徴求命令の期限が到来した。それと同時にリリースが随時出ているが、その期日を前に東京海上日動あんしん生命保険に金融庁検査が入ることが明らかとなり、驚きの声が上がっている。そこで連載『ダイヤモンド保険ラボ』の本稿では、その理由を考察する。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)
東京海上あんしんに金融庁検査
募集人リクルートスキームにメス

Q 東京海上日動あんしん生命保険に金融庁検査が入ることになりましたね。8月6日に大型保険代理店FPパートナー(以下、FPP)に行政処分が出ましたが、その一環でしょうか。

A その通りです。2025年8月18日配信の保険ラボ『FPパートナーに業務改善命令、便宜供与を行った生保8社に報告徴求命令を出した金融庁の真意とは?』にある通り、FPPの問題は乗り合い代理店側だけの問題ではありません。便宜供与を行なっていた生保側にも問題があります。
そのため、FPPへの行政処分と同時に、生保8社に対して報告徴求命令が出されましたが、検査予告のタイミングについては驚きの声が上がりましたね。

Q それはなぜですか?

A 報告徴求命令に対する報告期限は9月8日でしたが、「あんしん生命に検査が入るらしい」という話が漏れ聞こえてきたのは、8月末のことでした。さすがに誰も報告書を提出する前に検査予告が出るとは思っていませんでしたので、驚きの声が上がったのも無理はありませんね。

Q となれば、以前から検査に入ることが決まっていたということでしょうか。

A そうだと思います。何せ、FPPの検査期間中に金融庁が生保各社に何度かヒアリングを行った際、あんしん生命はかなり金融庁を怒らせていたようですからね。

Q FPPに対する広告費に関するやり取りの件でしょうか。

A それだけではありません。これまであんしん生命が行ってきた営業施策について、便宜供与であるとの認識が甘かったからでしょう。